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神沢祐樹-129 [高校生会議2-21]

「対談、お疲れさまでした、様子は絵美とモニターで見させて貰ってたけど、あれがワンマン社長の姿なのね。」
「祐樹さまは、にこにこしながらほとんど聞き役、対談ではなかったです。」
「う~ん、にやついてたかな、彼の態度が、あまりにも予測通りだったからこれからの展開が楽しみでね、シナリオA確定だよ。」
「シナリオA?」
「対談後すぐに、工場建設に向けてのゴーサインを出した、すぐに色々動き始めるんだ。
明日、俺達は工場を貸して下さる方や施設の改装をお願いする業者、その他、町内会の方も含めてご挨拶、夏祭りの会場にも顔を出す。」
「まずは住人を味方にするという事なの?」
「とても重要だろ、成功すれば新規事業の半分が成功と言っても過言ではない。」
「工場の話が発表されるのね。」
「まあ、正式なものではなく軽くだけどな、年内には操業を始めたいから従業員募集への布石だよシナリオ通りに行くかどうかは社員達の手腕にかかっているが、大丈夫だと思う。」
「あっ、担当社員はこっちに転勤して貰うの?」
「うん、近い将来この地に支社を構えたいからね、ここの事業を推進しようとしているのは、元々山に囲まれた環境を気に入ってた連中なんだよ。
仕事が無かったら暮らせないだろうが、自分達で仕事を生み出して、人口の減少に歯止めをかける事を考えたのさ。」
「確かに柿川よりは涼しくて快適だけど、冬は大変そうよね。」
「はは、そこをスキーやスノーボードが出来る土地と考えるのが我が社の社員なのさ。
この地の労働環境を変えるという事もゲーム感覚じゃないのかな。
力の有る人が地方の活性化に力を発揮したらどうなるのか、千恵も注目しててよ。」
「うん、何かドラマの始まりみたいね。」
「まあ、実際は地道な作業が続くのだけどな。
商品はこのエリアの特産フルーツと組み合わせる事も考えていて、形が悪くてそのまま出荷出来ないものを原料に使い、地元の新しい名産にしようと思ってる。
うちのグッズと一緒に売りながら販路を広げて行けば、製造と販売のバランスが取れるだろう、うまく工場規模を拡大する事が出来れば、結果、労務倒産の実例を目の当たりに、という筋書きなんだ。」
「ワンマン社長の会社は労務倒産か…、そこを救済する事も予定に入ってるのよね、でも負債を抱えた会社を子会社にするなんてリスクが大きくないの?」
「そこまでのリスクは考えていないよ、従業員が離職して工場が立ち行かなくなる事を想定している、賃上げで対応出来れば持ち堪える事が出来るかも知れないが、慣れた従業員に見放される可能性が高いと判断した。
会社として粘る事すら出来ない状況になれば、負債を増やす前、いや、工場の価値が下がる前に手放したいと彼が思う方向に持って行ける、そんな結論に至ったのさ、当分先の話だけどね。」
「そっか…、上手く行ったら番組でも取り上げる事になるのかな?」
「途中経過は出さないが、結果が出た時点でドラマ仕立てにして紹介する事に成るかも知れない、その時は薄幸な社長令嬢の役を、千恵、やってみるか?」
「え~、あんな人の娘役なんて絶対嫌だわ。」
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