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神沢祐樹-127 [高校生会議2-21]

「神沢社長、お早うございます。」
「お早うございます、対談前という事で一通り確認しておきますか?」
「はい、今日は何もご存じない方が見えますので、これまでの流れも含め、話させて頂いて宜しいでしょうか?」
「はい、お願いします。」
「今日の午後、神沢社長と会われる予定の方は、このエリアで事業を起こし成功された方で雑誌社を通して対談の話が来ました。
それを受けて調べさせて頂いた所、年商十億程度の会社で、お菓子の製造販売をしています。
ヒットの理由はそれなりの味とデザインだと思われます。
ワンマン社長で、派手に散財している印象を持ちましたので、社員待遇を調べてみました所、どうも給料は我々の三分の二程度、パートの時給もかなり安いのですが、この地の平均が低いので特に問題はない様です。
しかし、この現状が若者の都会志向を後押ししてしまっていると思います。
我が社がこのエリアの活性化を、微力ながらも観光面から取り組んで行こうとしている事は皆さんご存知の通りですが、神沢社長と相談しまして、製造業の分野にも取り組み実験的な展開を試みようと準備を進めています。
初耳という方ばかりだと思いますが、今まで一般社員に非公開で進めて来たのは、ワンマン社長にダメージを与える可能性の大きさ、まあ我々が殴り込みを掛ける事になりますので、誤解を招かぬ様にと考えての事です。
では、具体的な話は、佐藤から。」
「はい、まず、この地に工場を置きます、幾つかの候補から一つに絞りましたが、建物自体は安く借りられます、改装工事他、設備投資が必要になりますが、資金の目途は立っています。
この工場は、岩崎が柿川を一つの拠点と位置付けた様に、規模は遠く及びませんが、いずれ我が社と白川の拠点としてこの地を発展させる第一歩となります。
工場では、ワンマン社長の工場で製造している商品よりも上の味、上のデザインの商品、一見似ても似つかないのですが実は製造工程などが類似する商品を製造します。
これは、従業員を確保し易いという目論見有っての事です。
販売能力は我が社の方が数段上ですので製品に問題がなければ、短期間で売り上げを伸ばす事は可能です、しかし従業員を充分確保出来ないと思う様に製造が出来ません。
それを解決する手段が、先ほど竹中が殴り込みと表現した事になります。
正社員は我々と同様の給与体制とし、パート従業員もここの標準の二割増しから始めて昇給、五割増しになっても柿川標準より安いぐらいですから、良い人材が他社から流れて来ると思います。
経験者優遇とすればどうなるか、分かりますよね。
我が社には個人的に散財するワンマン社長はいませんので、最悪でも三年後には初期投資を回収出来ると試算しています。
製品の試作品は皆さんに好評でしたので…、千恵ちゃん、美味しかったでしょ?」
「あっ、佐藤さんが下さったのは…、普通に売れると思います。」
「後は今日の対談次第です、ワンマン社長が予想通りの対応をするので有れば、一切の手加減なく潰すつもりで取り組みます。
でも、倒産した場合、従業員全員を受け入れるシナリオは作って有りますので安心して下さい。」
「そこまですると、その社長が少し可哀そうな…。」
「社員を食い物にして贅沢な生活を送ってる人なのですよ。
この取り組みでここの平均賃金が上がれば、地元に残って働きたいと言う若者が一人ぐらい増えるかもしれません。」
「一人ぐらいですか…。」
「その一人が重要なのですよ。
それで、具体的には…。」
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