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近衛予備隊-344 [高校生バトル-77]

 加藤さんは一人の父親として子どもとの話しをしてくれた。
 自分も父親では有るが、子どもに関しては妻達とベビーシッターに任せきりにしていて、全く考えていなかったことだ。

「加藤先生は幼児期の環境がその後の成長に大きな影響を与えると考えておられるのですね。」
「ええ、ですから子どもからの質問には何でも答えて来ました。
 知的欲求が満たされてこそ、更なる知的好奇心が生み出されると素人ながらに考えています。」
「妻達が自分を特別な存在としている為か、子どもが自分に質問して来ることは無いのですが…、見てると妻達やベビーシッターは適当に答えています。」
「適当で良いのですよ、一番駄目なのは面倒くさがって答えないことです。
 答えることが難しい質問も有りますから、そんな時は適当が一番なのです。」
「そういうものですか…。」
「幼児は学術的な回答を求めている訳ではないのです。
 ですが、質問をし、それに応えて貰うことで脳を働かせているのですよ。」
「それが、脳の発達に繋がるのですね。」
「ジョン王子の幼少期はどうだったのです?」
「うちの部落は普通に貧乏だったのですが、何故か物知りなおじさんがいまして、色々な話を聞かせてくれるのが楽しかったです。
 部落には誰の子かに関係なく年長者が年下の子に気を配る習慣が有り、分からないことが有ると質問出来る人ばかりでした、それが自分にとって良かったのかも知れません。
 自分達の部落の大人達が他の部落と比べて優しく真面目だと言うことは、近衛予備隊に入隊して気付き始めたのですが、村長となって、その差の大きさに驚きました。」
「貧乏でも子どもにとっては良い環境だったのですね。」
「そう言うことだったのですね、近衛予備隊の初期、直ぐに力を伸ばしたのは自分達の部落出身者ばかりでしたので。
 国立学校で識字率を上げる為の義務教育をスタートさせ、その優秀者は王立高等学校へ、それぞれからの就職の道を整え、大学のスタートで教育のアウトラインが完成すると考えていましたが、幼児期を含む子どもを取り巻く環境をもう少し改善して行かないと、自分達の目指している社会改革はペースが上がりそうにないですね。」
「親に対しての意識改革は進められそうですか?」
「若い親やこれから親になろうとしている人達なら分かって貰えそうな気がします。
 義務教育の締めくくりに結婚や出産に関することを学んでいますので、まずはそこに幼児期の発達を意識した育児を加えることから検討してみようかと。」
「十五歳と言う年齢では早過ぎませんか?」
「十代で出産する人がそれなりにいますので。
 でも、結婚や出産のタイミングでもう一度学んで貰う必要は有るかも知れません。」
「あっ、プリンセス雅がYouTubeチャンネルで雅ちゃんの子育て奮闘記と言うのを何年も続けていらっしゃるのはご存じでしたか?」
「耳にしたことは有りますが、実際に見させて頂いたことは有りません。」
「日本語で本数も大量、また日本の制度に関する説明が有ったりしますので、そのままこの国で利用することは難しいですが、チャンネルを元にした本や、項目ごとに閲覧出来る様に整理されたサイトも有ります。
 日本語の出来る方に一度チェックして頂くと良いかも知れません。」
「そうですね、ベビーシッターに余裕が有りますので、まずは妻達に見て貰います。」
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