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F組三国志 8-2 [F組三国志 8 清水ちさと]

あっ、もうすぐ数一の授業が始まる時間ね。
おっと、そうそう、頭のスイッチを切り替えるんだった。

清水ちさとは数学の得意な女の子。
予習もきちんと済ませてる。
だから数学の授業は大好き…。

う~ん…、まだ役になりきれてないかな…。
ふふ、自己暗示、数学の得意な女の子になりきれたら、ほんとに数学が得意になるかもって。
省吾さんのアドバイスってなんか不思議。
演技の練習しながら学習への集中度を高めるなんて、考えもしなかったわ。

さ~、大好きな授業の始めは、やっぱ先生の自己紹介なんだろうな、教育実習だから。

「えっと、みなさんこんにちは。
教育実習でお世話になります、こ、小山勇です。
私はこの高校の卒業生で…。」

うわ~、先生、緊張してる~。
そりゃそうか、慣れてるわけじゃないし、この席の配置じゃプレッシャーも大きいわね。
公民の先生も、いつもと違って緊張してたみたいだったもんな。
私があそこに立つとしたら…、やっぱ何事にも動じないベテラン教師を演じるってことになるのかな。
これくらいの舞台がこなせなかったら、大舞台なんて無理でしょ…。
でも、舞台は観客との距離が離れているから…、どうなのかしら?
今日部活の先輩に訊いてみようかな。
おっと、数学、数学。
でも、このあたりは教科書と省吾さんのプリントで理解済みなのよね。
こんな時…、先生の話しは適当に聞き流して、練習問題を解いてみたり、先の内容の予習をしたりしても良いって省吾さんは言ってたけど…。
あれっ?
あの数式おかしくないかな?
おっ、みんなもざわついてる。

「先生、その数式違ってませんか?」
「エックスが抜けてるのか、えっと…。」
「あっ、ご、ごめんごめん、君の言う通りエックスが抜けてたよ。」

うわ~、先生、ミスして、さらにガチガチじゃん。
手も震えてるし…。

「先生、俺代わりに書いたげるよ。」
「おっ、林、かっこいいぞ~。」
「はは、まかせとけ。」

はは、林くんたら、調子に乗って。

「さあ書けた、はい、この例題解ける人。」
「林~、先生の仕事取っちゃだめだぞ~。」
「ははは。」
「解けない人聞いた方が早いんじゃないか。」
「うん、そうかもな、まあ面倒だから俺が解いておくよ。」
「あっ、ずっる~い。」
「そんな簡単な問題解いたっていばれんぞ。」
「ははは。」
「さあ、解けた、ついでに解説もしようか?」
「必要な~し!」
「じゃあ、続けて、次の問題。」
「ちょっと待て、徹。」
「あっ、淳一、質問か?」
「な、わけないだろ。
昨日予習していてちょっと面白い問題見つけたんだ、次は俺にやらせろ。」
「え~。」
「林、替われ~。」
「替わってやれよ。」
「ち、仕方ないな、淳一、つまんない問題だったら許さないぞ。」
「はは、ちょっとひねりが入るから徹に解けるかな。」
「お~、バトルだ~。」
「林、解けなかったらチームの恥だぞ。」
「それより、みんながあっさり解いたら、チーム麻里子のポイントダウンだよな。」

はは、みんな小山先生そっちのけで勝手に盛り上がってる。
でも、ちゃんと数学やってんだし。
え~と、あっ、応用ってことか、これは…。

「あっ、解った。」
「えっ、まじ。」
「ちさと、早すぎ。」
「あっ、そうか、俺も解けたぞ、お~い林、まだ解んないの~?」
「え~、解んね~。」
「はは、じゃあ、清水さんに解いてもらって、解説は小山先生にお願いするかな。」

ふふ、黒川くんは小山先生に授業をお返しするつもりだったのね。
さ~て、たぶん間違ってないと思うぞ~。
なんたって私は数学得意なんだから。
はは、うそだけどね。

「先生、どうでしょう?」
「うん、いいよ、林徹くん、黒川淳一くん、そして清水ちさとさんありがとう。
じゃあこの問題のポイントを確認してみようか。」
小山先生も少し落ち着いたみたい。
はは、先生の話しは適当に聞き流そうかと思ってたけど、暖かく見守ってあげなきゃだめよね。

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