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近衛予備隊-244 [高校生バトル-67]

「そう言うことでしたか、自分が育って来た教育環境とは大きく異なるので良く分かりませんが、義務教育の無かった環境から充分な予算のないまま教育制度を拡充して行くのは簡単なことではないのですね。」
「ええ、教育の遅れが様々な弊害をもたらして来たのですが、それを理解していない親も少なく無いのです、労働力を学校に取られると考える人がいるぐらいで。
 貧困層は給食を用意しなかったら親も子も学校に興味を示さないでしょう。」
「でも、予備隊の子達はとても恵まれていると感じています。
 彼らは大学入試を考える必要が無く、ローティーンの子でも店での実習を楽しそうにやっていたり、自信を持って小学生に教えていたり、そのまま自立して行くのですね。
 正直、自分が高校入試や大学入試に励んでたのが本当に意味の有る事だったのか疑問に思い始めているぐらいです。
 ジョン王子は大学に通った訳でも無いのに、政治経済に詳しく電力会社の社長としても活躍されています。
 店のフロアマネージャーから実践的な指導を受けながら近衛隊の一員となり学習を深めたそうですが、そこには無駄が無かったと思うのです。
 勿論、英語だけでなく日本語もマスター出来る才能をお持ちだったからでしょうが。」
「そうですね、近衛予備隊第三部隊に入隊出来た子は恵まれています。
 但し、その環境を手に入れる為に彼らは努力して来ました。
 十二歳以上を対象に年二回入隊試験を行っていますが、遠くから四時間かけて試験を受けに来る子がいます、一度不合格になっても学習し直し再度受験する子も。
 第三部隊は初期段階で子ども達が憧れる隊に出来た為、優秀な子が集まって来ているのですよ。」
「他にも優秀な子が通う学校は有るのですよね?」
「ええ、高校が有りますが学費が高くて普通の子は入学出来ません。
 そんな高校の出身者達が戒厳令の切っ掛けにもなった不正蓄財をしていたのですけどね。
 最近では高校に入れる子が第三部隊への入隊を希望する様になって来ました。」
「その影響で不合格になる裕福でない家庭の子がいたら可哀そうです。」
「いえ、合格者数は決めていませんので影響は無いです、合格ラインを超えた全員を受け入れていますので。」
「う~ん、私達が経験して来た入学試験は学校の都合による人数で切られていまして…。
 でも、合格者が多過ぎて困ることは無いのですか?」
「先輩が導くことになっていますし、義務教育が始まったら彼らには教師としての役割を担って貰う予定、教師は国軍からの希望者だけでは足りないのです。
 特に初期段階は困難な作業が待ち構えていると思うのですが、彼らは教育の重要性を理解した上で、例え困難でも取り組もうとしているのです。」
「日本では高校生ぐらいの子達ですよね…。」
「何か悔しい様な羨ましい様な…、自分が大学受験に取り組んだのとは全く違う経験、彼らは困難な仕事に自分の意思で取り組もうとしている…。」
「凄いですね、私なんて彼らと比べたらお子ちゃまレベルかも。」
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