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みどりの風-06 [高校生会議-11]

国政政党としてのみどりの風スタート会見には多くのマスコミが集まった。
会場の市民会館は関係者と記者やカメラマンで満席。
進行は前山さん、挨拶の後…。

「それではここまでの経緯を党本部長、岩山武より説明させて頂きます。」
岩山さんは、地域政党みどりの風発足からの流れを語る。
特別な話はない、調べれば誰でも知る事の出来るレベルの話を簡単に済ませた後。
「地域政党として地域を盛り上げようとしても、国政の壁に阻まれる事が有ります。
地域間格差などの諸問題も地域政党では限界が有ります、そこで…。」
このタイミングで、前の方がざわつき笑い声も漏れた。
「そこの方々、この後遥香さまが登壇なされます、その場で今の様な失態が有れば御社は今後記者会見への出席をお断りさせて頂きますが、何か反論は有りますか?」
「いえ、申し訳ありません、当方のミスです。」
「分かりました、我々は緊張感を持って国政政党を立ち上げます、それは現役の国会議員の方々の参加を頂いての事です、所属政党から離党してという大きな判断に基づくもので決して軽い物では有りません、多くの必死の思いがあって今日の日を迎えたと、会場の皆様方にもご理解頂けたらと思います。
今回党勢が充分に固まってない状況で発表させて頂くのは市長選など今後のスケジュールを見越しての事、遥香さまにご無理をお願いせざるを得ない状況にしてしまったのは家臣の不甲斐なさによるもの、せめてこの会場に集まった方々は遥香さまに失礼無き様お願いします。」
しばらく岩山さんの話が有った後、私の出番。

「本日はお忙しい中有難う御座います…。」
まあ無難に党の方針などをお話しさせて頂いた後、支持率の低下した党から鞍替えして下った方や無所属から入党して下さった方の紹介や挨拶を仕切った。
そして記者からの質問に応える時間となる。
「遥香さまは、党首として靖国問題をどう考えておられますか?」
いきなり靖国問題をぶつけて来るところはこの記者の人格を疑ったが…。
「この国を支えて来られた方々を慰霊する気持ちは大切ですので今のまま続けて下されば良いと思います。
ただこの世に生を受け亡くなられた方々は、戦争で亡くなられた日本の方だけでは有りません、外国の方、大災害の犠牲者、また戦争や大災害の犠牲者でなくとも、不本意に命を落とされた方は少なく有りません。
地球上に生命が誕生して以来、数えきれない生命が地球上に存在して来ました、その膨大な生と死の上に今の日本は存在しています。
靖国の様な少人数を神道に基づいて慰霊という事ではなく、世界中で有史以来亡くなられたすべての方に思いをはせる、宗教を越えて先人に感謝する施設、本当は皆さんの心の中に有れば良いのですがシンボルが無いと忘れてしまいますので、そんな施設を設けたいと考えております。」

「周辺諸国との外交に関してのお考えは?」
「国家という存在は自国の利益を優先せざるを得ません、ですから我が国も時に強い意志を示す必要が有ると思います。
ただ、互いに協力し合えればそれに越した事は有りません。
岩崎ではまだ小規模ですが、経済的に関係の有る相手国の利益を考えての交流を広げつつ有ります、そういった活動をさらに広げ、日本が国際社会の中で信頼される国で有る様努力して行きたいです。」

「遥香さまは彼氏とかいらっしゃるのですか?」
「次回の会見から事前に質問内容を確認させて頂きます、内容によっては質問をお断りさせて頂きますが、どの様な質問内容を拒否させて頂いたかは公表して下さって構いません、但し、それが偽りの情報で有った場合はそれなりの対応をさせて頂きます。
政党の記者会見でそれに全く関係のない質問をして下さったあなたの会社の社名を、もう一度宣伝する機会を差し上げます、どうぞ。」
「あっ、その、失礼しました…。」

「遥香さまは年齢的に国会議員になる事は出来ませんが、それでも党首となられたのは、どのようなお考えが有っての事ですか?」
「従業員に優しい企業体の一員として私も社長職を務めさせて頂いております、社会福祉活動にもささやかながら貢献させて頂いております、ですが一企業体としては限界が有ります、そして地域政党では限界が有ります。
私共が国政を目指すとなった時、準備に時間が掛かかると気付かされました。
ですが充分な準備を終えてからスタートという事では非常に効率が悪いです。
そこで、関係者の中で比較的知名度の高い私が表に出てスタートさせ、一気に組織固めをし次回の国政選挙までに党首を交代するという形にさせて頂きました。
みどりの風から立候補して頂く方の知名度は決して高く有りません、能力が高くてもです。
私の役割はそんな候補者を皆さんに知って頂くお手伝いをさせて頂く事だと考えています。」

「党首交代のタイミングは党首選なども含め何時頃とお考えですか?」
「次の党首は私と同様、選挙によらず話し合いで決定します。
党員による選挙の場合、候補者の事をほとんど知らない人達による投票となりますので、必ずしもふさわしい人が選ばれるとは限りません。
これからの組織固めで、誰が党首に相応しいかは自ずと見えて来る、そう確信しております。
こういう状況ですので、党首交代の時期は様子を見ながらとなります。」

他にも幾つかの質問に答えたが、思ったほど手厳しい質問はなかった。
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