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岩崎高校生会議-23 [高校生会議-19]

震災直後の混乱が落ち着き始めた、と言っても不自由な生活を強いられている人が多く存在する段階で被災者支援センターは次のステップへの移行を考えていた。

「遥香さま、復興チームのスタートが決定したそうです。」
「早すぎるとの反対は、解決したのね。」
「亡くなられた方々への鎮魂の気持ちを忘れずに、生きている人達の明日を大切にしましょう、との遥香さまのお言葉に納得して頂けた様です。
岩崎関連の工場や商店は、すでに動き始めていますし。」
「経済活動が回復して行かないとね、復興チームの動きはどうなりそう?」
「地方自治体、国、岩崎が力を合わせて行く事で合意出来ましたから、準備して来た事を実行に移して行きます。
災害は悲しい出来事ですが、その反面、町を作り直し発展させるチャンスでも有る。
それを如何に理解して貰うかに掛かっていると思います。」
「受け入れ難い人もいるのでしょうね。」
「はい、それで…、遥香さまには、このまま復興のシンボルになって頂きたいと多くの人が望んでいます。」
「う~ん…。」
「震災前も、遥香さまは彼の地で憧れの存在だったそうです、遥香さま関連グッズの売り上げを調べてみましたが、人口比で考えるとかなり高かったです。
震災後の早い段階で遥香さまの鎮魂歌が流れ始めた、それは家族を失った方々の心に届いただけでなく、過酷な状況で働く軍関係者やボランティアの心を慰める所となり、女神さまの思いに沿って自分達は働いているのだと自分に言い聞かせていた人も。
彼等は遥香さまが物心両面で支え救って下さる方だと信じています。
すでに被災者にとって心の拠り所となっているのです。
避難所では毎朝、遥香さまの鎮魂歌が流されて死者に対する祈りを、救援ボランテイアや軍隊の人は作業の前後に鎮魂歌を聞きながら遥香さまのお写真に跪いているそうです。」
「彼等の神様とかはいないの?」
「いますが…、苦しい時に救いの手を差し伸べてくれた女神さま、歌声やお写真で励まされただけでなく、食料や生活必需品を分けてくださるリアル女神様に勝てる要素は少ないと思いませんか。」
「はぁ…、それで復興のシンボルとは?」
「復興となると利害関係が生じます。
道路の狭さが被害を拡大したのに、元通りの区画で再建するなんて愚の骨頂じゃないですか。
ですが区画整理をするには、土地の買い上げ借り上げ、転居などの調整という微妙な作業が必要になります。
予備調査で、欲に目が眩んで足を引っ張ってくれそうな人物はピックアップ済だそうですが、限りある予算を有効に活用して行くためには、多くの協力的な人の心を掴む事が第一です。
欲張りな人を少数派にして追い込むには、遥香さまの御威光が有効なのです。」
「自分の立場を客観的に考えるとその考えは否定出来ないのよね…。
ここまで来ると…、ほんとは普通の女の子なの、と話して大勢の人をがっかりさせる事も出来ないわね…、子ども達が安心して暮らせる環境を取り戻して貰わないと…。
私からお願いしても良いかしら、遥香姫として現地へ行って鎮魂歌を歌いたい、でも、復興の妨げになる状況では行けない。
社会が落ち着いて、私の訪問が復興の妨げにならないと判断出来たら、鎮魂歌と明日への希望の歌を届けに行きたいと。」
「お願いします、その様に発表すれば復興への励みとなるでしょう。」
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