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近衛予備隊-377 [高校生バトル-80]

 詩織さまの父上が我が国を訪れるのは初めて、遠江王家の一員として歓迎会などを開きたかったが、暫く人前には出たくないとのこと。
 その滞在は特に隠されている訳ではないが特別な形での公表はせず、詩織さまの庭の片隅に建つ、宮殿エリア内で一番小さな住居での生活を始められた。
 同行して来たスタッフは詩織さまの指示で宮殿内の長期滞在客用の広めの部屋へ、パソコン関連の機器を置く部屋は何時の間にか用意されていた。

「佐伯さん、一週間滞在して不都合なことは有りませんか?」
「ああ、有難う快適に暮らさせて貰っているよ。
 空港では暑いと感じたが宮殿エリアは程よいね、顔が知られる前にとあちこち散策しているが遠江王国に負けず劣らず綺麗だな。」
「自分が遠江王国へ行った時に、綺麗な街並みを維持出来るかどうかは住民によると知りました。
 住民の意識改革が必要でしたが、観光客にとって魅力的な街にすることが自分達にとっての利益に繋がるとの理解が進み、観光客が汚すことは有っても住民が汚すことは殆ど無くなりました。」
「私がここへ来た理由、詩織はあまり話してないみたいだが。」
「総合学校で細々と養成して来たプログラマーと大学でスタートしたシステムエンジニア養成の辺りを見直して下さると聞いています。」
「まあそうなのだが、我が社のコンピューターシステム部門は人材さえいれば拡大出来るんだ。
 その人材をここで育てられたらと思い、講師マッチングシステムを構築したのも、遠江大学が募集した講師達もうちのメンバーなんだ。」
「大学が大学として落ち着くまで会社には関与させないと、詩織さまは話しておられましたが。」
「それは金銭面のことだよ、但し講師達には暫く我が社の関係者だとは分からない様に絡んで欲しいと話していたけどね。
 制限を付けたことで出番が回って来ない連中は残念がってたが、白羽の矢が当たった連中はしっかり学習した上での質問に答えるのは楽しいと話してたよ。」
「あえて公表されなかったのは何故です?」
「いずれ知られることでは有るが、学生達に変な先入観を持って貰いたくなくてね。
 詩織が言うには、女王の父親で有る私がコンピューターシステム部門の重役だと知られていたそうで、始めから自分が表立って関わったら学生達は余計なことを考えてしまいかねないと思ったのだよ。」
「それで暫くは講師マッチングシステムを利用してということだったのですか。」
「ああ、取締役を退任してからは、自分も講師として教えながら王立大学のことを考えていたんだ。
 大学のシステムもレベルアップしたいとね。」
「これからは王立大学に力を注いで下さると言うことですか?」
「そのつもりだよ。」
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