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姫-04 [高校生会議-13]

遥香姫生誕祭のDVDは、映像が撮り終わっているいう安心感で歌の録音に力を入れた。

「録音だけなら、ゲストの方とは別に録音して後はお任せで済むのですが、彼等は機会が有れば同じステージに立ちたいと話しています、遥香さま、如何ですか?」
「そうですね…、録音風景をDVDの宣伝映像として使えるかも知れませんね。」
「では遥香さまの録音予定に合わせて呼び寄せます。」

人気アーティストが都合を合わせて来てくれた。
普段接する事のない方々との時間は楽しかった。
そして、彼等はその時の模様をDVD発売に合わせ、自身のラジオ番組で語って下さった。

「え~、御存じの方も多いと思いますが、間もなく発売される遥香さまのDVDに俺達はゲスト参加させて頂きました~!」
「え~、ご一緒に歌われたりとかしたのですか?」
「もちのろん。」
「うらやまし~、私は直接お会いした事無いのですが、実際どんな方でしたか?」
「めっちゃくちゃお綺麗、でもお付きの人に聞いたらほぼスッピンなんだって、もうテレビとかで見るよりも全然、相方があれだけ緊張して歌ってるの初めて見たかも。」
「そういうお前だってミスりまくってたよな。
ネット上では作られた姫とか軽い気持ちで批判してる奴もいるらしいけど、オーラが半端じゃないんだよ、遥香さまは、この業界長くやって来たけどマジでひれ伏したくなったのは初めてだ。」
「へ~、映像でも美しさが伝わって来ますが。」
「実物全然違うしね、そして遥香さまは外見だけじゃないんだな、録音の合間に側近の人から声を掛けられると、俺達が耳にしても問題ない内容の場合は、即座に指示を出してみえてね、その瞬間は姫ではなく社長、これがまた恰好良くてひれ伏したくなるんだよなぁ~。」
「え~、女王様に踏まれたい的な?」
「ま、マジでやめてくれ、遥香さまはそんな存在じゃないから。」
「神に対する冒涜的発言だぞ!」
「え~、お二方とも普段は結構下ネタも混ぜてるじゃないですか~。」
「遥香さまの事が分かって無いね、君は、作業の合間に耳にするスタッフの雑談はほぼすべてが遥香さまに関する事なんだ、俺達だってキャリアがありそこそこ有名人の部類だろ、でもあの現場では…、ファンですと声を掛けてくれた子でさえ遥香さまばかり見ているんだ。
でも、それが嬉しかったりしてな、はは、遥香さまにお会いした事のない君には理解出来ないだろうが。」
「姫さまとして振る舞っておられる映像は対外的に作られたものだとネット上で広まってますよね。」
「はは、姫さまモードと社長モードの時は若干違うけど、自然なんだな、俺達は結構長時間ご一緒させて頂いたのだけど、ずっとお姫さまだった。」
「冗談を話される時もな、生まれながらではない姫かもしれないが、岩崎王国の姫として自然に振る舞っておられる、俺達には理解できないお覚悟がお有りではないかな。」
「お二方とも遥香姫にメロメロという事ですか?」
「メロメロって表現は古過ぎだぞ、まあ、次のCDは遥香さまに捧げる曲になるけどね。」
「遥香姫親衛隊メンバーとして頑張らないとな。」
「うわ~、遥香さまを利用して金儲けを企んでるのですか~。」
「どうしてそうなる?」
「売れなかったら恥ずかしいけど、俺達の取り分は岩崎高校生会議の運営費に充てて貰う事にしたんだ、君と違って余裕が有るからね。」
「私だって、バッグを買わなかったら余裕がありました~。」
「計画性のなさが…。」
「あっ、そうそう遥香さまは来週から九州旅行、次のDVDの撮影の為なんだけど、ラジオをお聴きの皆さん、すごい旅行だから注目して下さいね。」
「同行させて頂きたかったよな。」
「ああ、でも秋にはスケジュールを合わせて一緒のステージに立たせて頂けそうなのです、楽しみにしていてくださいね~。」
「まあ、俺らが楽しみなんだけど。」
「良い年したおっさん二人が十七歳の少女に…。」
「はい、アウト、デレクターさん来週からこの人いらないです。」
「遥香姫親衛隊隊長にお願いして、親衛隊から派遣して頂いて下さい。」

そのままフリーの女性アナは契約を打ち切られ、こちらから暫定的に桜を送り込む事となった。
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