SSブログ

二学期-232 [花鈴-24]

 彼らが大賢者の発言をどう受け止めたのかは分からないが、学生達からの私に対する注目度が上がってしまったのは間違いない。
 絵梨の書く文章が子どもらしくないと言うことは既に知られていたことだが、私のことは特別な能力も無く、親の力で会社の会長をやってるぐらいに受け止められていると思っていたが…。

「姫さま、私も花鈴姫とお呼びしてよろしいですよね?」
「えっ?」
「YouTubeチャンネルでは花鈴姫か姫さまじゃないですか。
 徳沢さんを僕としてる、愛らしいだけでなく聡明な姫さま、私もお近づきになりたいのです。」
「えっと…。」
「初対面の人は敵か味方か分からなくて苦手なのでしたね。
 私はYouTubeチャンネルを見て姫さまに憧れていましたから扱いは徳沢さんレベルでOK、研究の合間には姫さまの為に働かさせて下さい。」
「有難う御座います。
 でも、映像編集者が面白がって徳沢さんを僕が如く編集しているだけで主従関係では無いのですよ。
 姫と呼ばれるのはニックネームの様なもので。」
「でも、そこに尊敬の念を感じていました、姫さまは私達のことを観察対象にして下さっているそうですが、私も姫さまのことを沢山知りたいです、色々教えて下さいますか?」
「研究対象として?」
「それは否定出来ないです、そもそもギフテッドの子なんて身近にいませんでしたので。」
「私は大賢者と違ってギフテッドでは無いのですが…。」
「夏休みをここで過ごした学生達は、小学五年生の姫さまから社会学について沢山教えられたと話していました。
 社会の一員として社会とどう関わって行くのかを、姫さまと出会うまで考えたことも無かった人ばかりだったとか。」
「ええ、皆さん学力的には優秀な方ばかりでしたが、人と社会との関係と言う大切なことに関して考察されたことの無い方々で、大学入試に関係が無いと社会の一員として重要なことでさえ、ないがしろにされている事実を知りました。
 大学入試の為に暗記していること以上に大切な情報は幾らでも有るのです。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。