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二学期-237 [花鈴-24]

「株式会社花鈴の方は問題ないのだな?」
「そうね、問題が起きても解決出来てるみたい、田中社長は小さな問題にもきちんと向き合う姿勢を変えて無いから社員も安心して報告や提案をしてるみたいなの。
 正直言ってレベルの低い提案も有るのだけど、それを無視しないことで社員の信頼を得ていると思う。
 提案を却下するにしても、提案した人が納得出来る様にして…、社長って大変なのね。」
「まあな、社長によりけりでは有るのだが、株式会社花鈴の社長は田中さんが適任だと思ったんだ。」
「違う選択肢も有ったの?」
「ああ、若手に任せるとかな。
 だが若手では、この地の顔役達と上手く行かないと思ってね。」
「田中社長のバランス感覚は間違いないのよね、もっと大きな会社の社長でも大丈夫だと思うのだけど。
 小さな子会社の社長で良かったの?」
「株式会社花鈴、今は小さくてもこれから業務拡大して行く会社、本当に自分の力を試してみたいと思う人にとっては形が出来上がっている会社より面白い素材なんだよ。
 そもそも、彼が過疎地への移住に前向きだったのは子どものことも有るが、可能性を考えてのことだったからな。」
「そんな話、聞いて無かったな。」
「都会での事業展開は条件さえ整っていれば彼にとって難しいことでは無いんだ。
 でも、ここには様々な困難が待ち受けているし、大学生が絡むと言う不確定要素も有る。
 暫く前、食事を共にした時は、仕事が楽しくてしょうがないと話してたよ。」
「へ~、大変な仕事を押し付けられて落ち込んでいるのかと思ってた。」
「どうして?」
「表情がね…。」
「はは、そう言えば花鈴姫には会社が何時も大変だと思って貰える様に頑張っていますと話してたな。」
「えっ、あれは演技だったの?」
「かもな。」
「う~ん…、それを追及したら私は器の小さな会長になりそうだわ。
 どっしりと構える軽量会長としてはスルーすべきか…。」
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