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新学期-366 [花鈴-37]

「へ、へ~、何か大き過ぎる話で良く分からないのだけど。」
「それが、そんなに大きな話でも無いのよ。
 山を持っていても、そこから利益を得られてた時代は終わっていて、負の遺産を子に遺したくないと手放したい人も少なからずいてね。
 でも買ってくれる人どころかタダでもいらない人ばかり、怖いのは水源地を第三国の人に買われてしまうことなのだけど。」
「山を放置すると土石流の危険性が増加する、その辺りのことは?」
「分かっているのね、そこも意識してるから大富豪との話を進めてるの。
 契約条件を間違えない様にね。」
「契約出来そうなの?」
「ええ、我が社が大富豪の望み通りこの地の自然景観を維持しつつ彼の別荘を設計し建設。
 その提案の中には私の案も含まれてるのよ。」
「どんな?」
「別荘の敷地は送電線の鉄塔など人工物が目に入らないことを大前提に安全と景観を重視した場所。
 愛犬を連れて散歩する為の遊歩道には季節を感じられる植物を自然な形で見られる様にと。」
「移植したりして?」
「極力現状のままにするけど一部はね、手を加える事によって数が減りつつ有る植物を保護出来ないかとか、まあ、そんな事に対して理解の有る人で金額を問題にする人ではないのよ。」
「大富豪か…。」
「会って見る?
 私の友達だと紹介するけど。」
「英語で話すことに?」
「自信が無かったら通訳を用意しても良いわよ。」
「う~ん…、当たって砕けてみたいかも。」
「ふふ、美礼なら気に入って頂けると思うわ。
 慣れない英語でグイグイ話し掛けた絵梨のことを凄く気に入って下さった人で、前向きな若者達を力の限り応援して行きたいと話して下さってね。
 実際、今までにも様々な社会貢献を世界規模でなさっていらして。」
「日本のお金持ちとは規模が違うとか?」
「なのよね、うちのお父さんだってそれなりの金額を動かせるのだけど、額の桁が大違いなの。」
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