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室長-15 [安藤優-04]

優が室長としての立場を固めつつ有る頃から、父とは別行動での出張もこなす様になっていた。
社長でも社長室室長でも良いから来て欲しいという依頼が増え、それに応える形で父と手分けして講演や視察に出かける様になっていたのだ。
行先は優の希望を優先、すでに親から自立し始める年頃になっていたから、優はこんな旅行を楽しんでいた。
今回の海外出張はその延長線上とも言える。

「室長、ヨーロッパ行きの同行スタッフですが、どうしても英語以外が弱くなってしまうのですが。」
「英語が出来れば大丈夫じゃないですか。」
「はい、ただ場合によっては先方とのコミュニケーションを室長にお願いせざるを得なくなる可能性も有りまして。」
「分かりました、下準備でも必要なら相談して下さい、皆さんが不安なら通訳もお願いして下さい。」
「有難う御座います、ヨーロッパとの繋がりはまだ少なくて、アジアやアメリカの時の様に現地スタッフを頼る事も出来ませんから。」
「今回はかつて日本に留学していた人達とも会いますが、彼等は今回の旅をサポートしてくれると言ってくれてます、少しばかり甘えても良いと思いますよ、自分が日本語を教えた人もいますし、新たな業務提携まで視野に入れてる人もいますからね。」
「室長の人脈ですか…、どうやってそんな人脈を作られたのですか?」
「両親の力でしょうね、留学生だけでなく多くの人を家に招いてもてなして来ましたから、父が招いて、母が相談に乗ったりと、自分はホームシックになってる留学生の相手をして来ましたが。」
「そうでしたか。」
「ヨーロッパとの結びつきを強める事が大きな目的ですから、お土産も厳選して下さいね。」
「はい、各地の支社から日本的な物とヨーロッパでも売れそうな物を用意しています、ヨーロッパ統括支社に貨物便一機分を送る手筈も整いました。」
「どうです、輸出入のバランスはとれそうですか?」
「はい、試算の段階では大丈夫です、実際には色々な調整が必要になって来るでしょうが、大きくバランスを崩す事の無い様、室長の指示はスタッフ全員に行き届く様にしています。」
「うん、お互いの利益を守る事が大切だからね。」
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