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室長-13 [安藤優-04]

試験輸出入の結果が出始めるまでには二か月ほど掛かったが。
「室長、やりました! 試験輸出の一回目の報告が届きましたよ!」
「どうしたんです、何時も冷静な矢崎さんらしくないですね。」
「思わぬ商品がバカ売れで追加発注が幾つも届いているそうです、もの珍しさだけの可能性も有りますので追加数は抑え気味にしているそうですが、それでもかなりの、しかも不良在庫になりかけてた商品もそれなりに売れて、すでに特務室宛に感謝のメールが届き始めています。」
「では、近い内にプロジェクトチームと商品分析をしたいですね。」
「はい、その様に、報告のデータは日本語ノートパソコンに入れて有りますので確認願います。」
「有難う御座います。」
「これこそが特務室の力なんですね、個別の会社単位ではなかなか出来ないでしょうし、効果的でも有りません、全社に影響力の有る社長特務室が実績の有る室長の指示で動くとこれだけの成果が出せる、私、ちょっと感動してます。」
「特務室の狙いが分かって頂けて嬉しいです。」
「その割に室長は嬉しそうじゃありませんね。」
「まだこれからです、じっくり見極めて本当に海外でビッグヒットになる商品を見つけ出し、もしくは海外向けに手を加えて、桜根を支えてくれる様な商品をもっと出して行きたいのです。」
「室長がそれだけ貪欲であるのならこの会社は安泰ですね。」
「多くの社員を抱えていますから、父の助けをしたいのです。」
「やはり将来はこの会社の社長に?」
「それは分かりません、父も桜根の社長にこだわるなと言ってくれてます、個人経営の会社では有りませんから本来後を継ぐというものではないそうです。」
「でも室長のお力なら社長の息子としてではなく、実力有る経営者として桜根を守って頂けたらと思いますが。」
「有難う御座います、でも、まあ先の事ですしね。」
「あっ、そうでした、未だに室長の若さとお力に納得がいきませんが…。」
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