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二学期-245 [花鈴-25]

 徳沢さんは乗り気では無かったが、ここでの活動記録として映像を残したいと思う学生がいて、シミュレーションだけで終わらせずYouTubeチャンネルをスタートさせることに。
 収益化は大変だから、それはあまり意識せずコンテストへの参加を目指してくれることになった。
 竹林の再生など今までやって来たことを整理し動画にするのでネタに困ることは無い。
 小枝子さんはそれをサポートしつつ自身のチャンネルで紹介してくれる。
 彼女にとっては一つのネタ、徳沢さん達が失敗したところで問題はないそうだ。

「失敗しても問題ないと言い切ってしまえる所が小枝子さんの強みだよな。」
「成功した方がメリットは大きくなるのだろうけど、徳沢さんたちのチームがYouTubeで失敗しても大勢に影響は無さそうだものね。
 お兄ちゃんは徳沢さん達の挑戦、どう思ってるの?」
「鍵を握ってるのは片岡さんだよ。
 本人は意識してないみたいだけど美人で性格が良いと評判なんだ。
 彼女の魅力を引き出せたら、YouTubeチャンネルとして普通に成功出来ると思うよ。」
「へ~、お兄ちゃんたら片岡さんに惚れたの?」
「まあな、俺のことを子ども扱いしなかったんだ。
 話してて頭の良い人だと感じてるし。」
「頭の良さか…、ここに関係してる大学生達は皆、頭の良い人ばかりだと思うのだけど。」
「大学入試に関係する偏差値的にはそうなのだろうけど、それだけで人は判断出来ないだろ?」
「そうね、頭の固い人もいるし。」
「徳沢氏の視野は広げられそうなのか?」
「どうかしら、育って来た環境によるものだと簡単では無いでしょ。
 でも、周りの大学生は一流大学だけ有って能力の高い人が多いから影響を受けてるかも。」
「一流大学に入学するとそう言うメリットは有るのだろうな。
 彼らと話していると話題がうちの中学生とは全く違い参考になる事が多いんだ。」
「お兄ちゃんは偏差値の高い大学を目指さないと話していたけど気が変わった?」
「いや、暫くはここに来る大学生と交流出来るからそれで充分だと思ってる。
 大学入試に大きな労力を掛けたくないからな。」
「将来学歴がハンディになることはないの?」
「さあね、でも自分を高め続けていれば関係ないさ。
 牧野富太郎って著名な植物学者がいたのだけど学歴に関係ない人でね。
 当時の小学校を中退したのだけど、十五歳の時、その小学校の臨時教員になった、今では考えられないだろ。」
「それだけ高い資質を持っていたのね。」
「調べてみると良いよ、日本の植物学の父だからな。」
「うん。」
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