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二学期-250 [花鈴-25]

 バーチャル国家構想はアッと言う間に仲間内に広がり、直ぐにナイトの称号を希望する人が現れた。
 だがバーチャル国家とは言え、騎士と言う設定の人がどんな仕事をするのか分からないからと保留。
 ただ学生達は名称、称号の意味について考え始め、合宿所のマネージャーに新国家財務大臣の称号を授与するまでに時間は掛からなかった。
 そしてバーチャル国家の正式名称は、色々な案を検討した結果、花鈴姫によって統治されるラブアビス国と。
 ラブアビスの由来はラブアンドピースだが、花鈴姫によって統治される、と付け加えることで重みが増すのだとか。
 これらは私の仲間達が勝手に盛り上がった結果で有り、そこに私の意見は反映されていない。
 そう、兄と私で切っ掛けを作ったお遊びは勝手に動き始めたのだ。

「花鈴、花鈴姫によって統治されるラブアビス国はどうなってる?」
「思ってた以上に盛り上がってるわよ、お父さんにも姫の父親として何か称号を授与しようか?」
「それは嬉しいね、ただ年寄りくさいのは勘弁してくれよ。」
「ふふ、大学生の一部は長老候補になってるのだけどね。
 出来たばかりのバーチャル国家に二十代の長老が誕生するのよ。」
「田中社長は?」
「始めはご迷惑かとも思ったのだけど、大長老として長老達をまとめて行く方向になってね。
 バーチャル国家ラブアビス国の発展の為にと、一番張り切って下さってるかも。
 外に向けて発信するお遊びとして、大いに発展させ活用して行きたいと話しておられたわ。」
「仮想国家は幾つかの観光地が取り組んでたからな。」
「通販事業は株式会社花鈴で執り行うより、ラブアビス国名義の方が顧客を惹きつけらそうでケーキ屋さんも協力してくれることになったの。
 ここで採れたブルーベリーを使った、ラブアビス国オリジナルの商品を検討して下さっていてね。
 ラブアビス国のオリジナルイメージデザインが出来たら積極的に使うとも。」
「そんなデザインはもう発注して有るのか?」
「学生さん達からは、取り敢えず美大生の友人に声を掛けてると聞いてる。
 友達関係で良いのが出て来なかったらプロに相談となるのかな。」
「そうか、例え援助したくなった芸術家の卵の作品で有ってもイメージデザインでは妥協するなよ、売れ行きに大きく影響するからな。」
「うん、そのことは大長老が皆に話してくれたわ。
 自分が良いと思っても大衆受けするデザインで無いと売り上げに影響にするからと。
 いくら良い商品でもパッケージのダサさで売れないことが有るのでしょ?」
「ああ、ただ…、ダサさが受けて売れることも有るから難しいのだけどな。」
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