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神沢祐樹-34 [高校生会議2-12]

「参考までに話しておくと、高校生の実習と言っても、すべて法律に沿った手続きを行い正式な法人となるからね。
もちろん利益に応じて税を納める事になるし、社員を雇えば法に基づいて守っていかねばならない。」
「そういった手続きは難しいのでしょうか?」
「慣れない高校生にとってはね。」
「では、お願い出来る方を探さねばなりませんね。
祐樹さま、心当たりは有りますでしょうか?」
「ああ、大丈夫だと思う、プロに学生の研修込みでお願いするという形を取れると思うよ。」
「そうか…、おい多田、俺達の出番はあまり無さそうだぞ。」
「だな。」
「えっ、どういう事ですか?」
「私が手伝う事になった連中は、まず何もかも自分達でやろうとしたんだ、いや、自分達でというのはマシな方で社長候補が一人でやろうとしがちだったんだ。」
「はは、社長失格だった訳ですね。」
「社長失格というか、リーダー失格だろ、絵美さんもそう思わないか?」
「はい、一人で出来る仕事には限りが有ります。」
「大人が起業を考えても似た様な事なんだ、資金の問題も有るがね。
そうだ、持ち株会社の傘下に入れないとすると資本金の問題が有るな。」
「株式会社にすれば資金調達出来ると思います。
どれぐらいの規模で始めるかは今日両親と相談してみます。」
「そうか…、それなら、ある程度方向性が固まったら声を掛けてくれるか、また食事会を開くから。」
「何か大変なご迷惑をお掛けしてしまいそうですが宜しいのでしょうか?」
「まあ気にするな、俺達の趣味みたいなものなんだ。
問題がなければ見守るだけなのだが、高校生が真面目に取り組んでいる姿を見させて貰うのは楽しくてね、祐樹がらみなら尚更だよ。」
「皆さんも祐樹さまの事がお好きなのですね。」
「そうだな、まだ絵美さんの知らない魅力を沢山持っているんだよ、祐樹は。」
「え~、どうしましょう、私はお友達として大丈夫でしょうか?」
「さあ、どうかね。」
「多田さん、絵美を不安がらせないで下さいよ、絵美、何の問題もないからね。
それより…、会社の話は自分も絵美から聞かされている訳では有りませんが、吉松社長は白川社長と連絡を取り合う事は可能ですか?」
「ああ、すぐに電話する事も出来るよ。」
「それでは、絵美の都合に合わせる形でお願い出来ますか?」
「ああ、了解だ。」
「多田社長、自分達は皆さんと遥香システムを通して情報交換すれば良いと思いますが、新規企画のワークシートは上位者の認証が必要になると聞いています。
どなたにどの様な形でお願いすれば良いのでしょうか?」
「起業実習責任者には私から話を通しておくよ、組織的には久兼くんが社長をやってる持ち株会社と横並びになるかな。」
「それは、なんか恐れ多いのですが。」
「いや、彼のチームはレベルが高いのだが、主力が大学生になったからね。
高校生で目立つ存在が欲しいのだよ。
祐樹がワークシート構築を出来るのなら、すぐにでも連絡を取って承認して貰う事も可能なのだがどうする?」
「お願いします、どんな会社になるにせよ準備は早めに取り掛かりたいですから。」
「分かった、起業実習責任者も君の事は知っている、認証コードは君んちのパソコンへ送らせるよ。」
「お願いします。」

「ねえ祐樹くん、急ぎ過ぎじゃないの?」
「そうかな、遥香システムの実習になる訳だし、今から動き始めればゴールデンウイークが終わる頃までに下準備が終えられるのじゃないかな。」
「千恵さん、祐樹さまは急いでおられる様には見えません。
今すべき事をと考えておられるのだと思います。
話しが進んでおりますので私も自宅に連絡を入れてまいります。」

「祐樹くんは絵美がどんな会社をイメージしているか知っているの?」
「具体的には聞いてないが何となく想像はついているよ、ただ不確かな事を予測で話す訳にはいかないから、少し待っていてくれな。」
「二人が出会ってからまだ二週間も経っていないでしょ、もう絵美の気持ちが分かるの?」
「会社の事は、何をするか未定ながら、自分も取り組んでみたいと考えていたんだ、だから部活はBクラスにしたのさ。
そんな関係で絵美が何を考えているのかはなんとなくね、彼女は千恵と同様、真っ直ぐな子だって感じるし。」
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