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夏休み-17 [高校生会議-06]

車で駅まで送って貰った後は、のんびりとローカル線の旅を楽しむ。

「遥香さま、今回は岩崎社長との時間が随分有りましたが、私は社長ってもっとお忙しいのかと思っていました。」
「優子さん、トップが忙しい企業は危ないのです、小さい会社ならいざ知らず、岩崎王国のトップが娘とのんびり出来ない様では多くの国民が将来に不安を感じますよ。
お父さまの周りには有能な部下が沢山います、その方々にお任せしての余裕です。
業績が落ち気味の企業に改善チームを派遣するぐらいの事は、お父さまが指示するまでも有りません。
お父さまは並みの社長がゴルフに行く様な時間を、大学生との時間に充てたり、岩崎王国関連の仕事に充てておられます、それは明日に向けての作業、現状維持にお父さまは必要ないのです。」
「そう言われてみれば…、でも遥香さまは、この旅行で随分事が進展したそうで、帰られてからは社長として、お忙しい毎日となりそうですね。」
「静香、どう?」
「有り得ません、管理職の方々は一つ一つの指示をしっかりこなし、更に保険を掛ける事まで考える様な方々です。
遥香システムを見ていると、発生したトラブルが順調に解決されて行くのが分かります。
写真撮影やテレビ番組向けも、関係部署がコントロールに入ってます…、もし遥香さまがお疲れになるスケジュールが組まれる様なら、秘書課の連中はおやつ抜きです。」
「うっ、恐ろしい様なダイエット効果が有りそうな…。
そう言う、静香隊長のスケジュールはどうなの?」
「勿論許される最大限の時間働きつつ、二学期の学習に向けてしっかり予習をしています。
充実感ばかりの毎日、でも体調の自己管理は隊長の務めでもあります。」
「隊長の体調管理ね…。」
「優子さんの方はどうなのです?」
「高校生会議へ課題を頂いたから二年生のフォローをしないとね、メインのサポートスタッフが遥香コーポレーションに移籍するとあって、調整の手伝いも必要になるのかな。」
「そうですね、部署によっては出張の機会が増えます。
代わりに、私達のエリアは社員増強に入っていますので、新たなサポートスタッフ募集も考えて下さい。」
「分かりました相談してみます。」
「今回の旅行、優子さん的に何か収穫は有りましたか?」
「今まで高校生会議の違う支部の方と話す機会が余りなかったので参考になりました。
私達のスケジュールに合わせて、遠方より会いに来て下さった方も見えまして、同じ理念の下に活動していてもそれぞれの活動に個性が有って面白いです。
皆さんからは遥香さまの地元という事で随分羨ましがられてしまいましたが。」
「他支部でも実習は活発みたいですか?」
「いえ、バイトを禁止している高校も有りますから。
それと、私達の地区はサポートスタッフに社員が多いのですが、大学生がサポートの中心だと実習現場の確保が簡単には行かない様です。」
「分かりました、他支部へのサポート体制は岩崎の本部とも相談しておきます。
プリンセス遥香の展開ではワンランク上のサービスを高校生の実習を引き受けながら実現したいと考えています。
ファミレス実習へ向けての研修では、ワンランク上という目標に対して、ずいぶん良い感触を得ています。
すでに、実習を経験した人達はお客様からも好評で、九月の改装後から平日夕方はホールを高校生で回しても問題なさそうです。
プリンセス遥香の今後の展開に高校生が関わる事は双方にとってプラスになります。
モデルケースとして記録していますので十七支部でも生かして下さい、担当は静香です。」
「それも隊長としての職務なのですか?」
「いえいえ、隊長なんて世を忍ぶ仮の姿、その真実の姿は恐ろしくて私の口からはとても…。」
「はぁ…。」
「冗談はさておいて、これから王国外の高校生にも高校生会議に参加して貰う、そのテストケースとしての第十七支部、準備は進んでいますか?」
「はい、まずはスタッフになってくれる人を募集し登録、研修が進んでから岩崎関連への高卒就職希望者、問題が無ければ大学卒業後に岩崎関連への就職を希望している人へと対象を広げて行く予定です。」
「運営体制を整えながら拡大という事で、無理が無い訳ですね、その方々にも実習で稼いで頂きたいものです。」
「稼いで欲しいのですか?」
「はい、家計に於ける可処分所得となる訳ですから…、出来ればご自身を高める為に使って頂きたいですが、趣味でも遊びでも構わないでしょう。
人がお金を使わないと経済が回りません、倹約して貯蓄に回す人ばかりでは活気のない状態になってしまいます。」
「高校生会議ではお金に関しても考えていますが…、遥香さまは貧困の問題に関してどの様にお考えですか?」
「個別に対応するしかないでしょうが、経済活動が活発で有れば自治体の税収も増えます。
財政に余裕が有れば福祉も充実できると思いませんか?」
「あっ、税収を増やすという視点…、私には欠けていました。」
「お金に余裕の有る人が、余裕の無い人を支えるシステムをもっと考える必要は有りますね。」

真面目な話もしたが、旅の終わりは親衛隊のおふざけに付き合ったり、記念写真を私が撮ってみたり。
姫が映って無くては意味が無いとブーイングを受けたが、皆楽しそうだった。
全員が私に忠誠を誓ってくれている…、喜んで貰えているのならお姫さまごっこが続いても良いのかもしれない。
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