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神沢祐樹-83 [高校生会議2-17]

「ここからはリラックスして下さいね、飲み物は各自でお願いします。」
「神沢社長、いよいよですね、私は完成された会社に就職して今まで過ごして来ましたので、会社の立ち上げに参加させて頂ける事が楽しくて仕方ないのです、地域の活性化、弱者に対する支援を念頭に置いている会社ですから尚更です。」
「ですが、社長が高校生で不安は有りませんか?」
「えっ、不安なんて、社長からは私利私欲が全く感じられません。
社長の為の会社ではなく、社会貢献を推し進める会社ですから味方は凄く多いのです。」
「そうですよ、白川副社長との初デートは柿川をざわつかせる大事件でしたが、生暖かく見守りつつ応援して行こうと盛り上がっていまして、写真集でもCDでも発売すればこのエリアの売り上げだけで採算が取れると予測されています。」
「社長、CD制作はどうなっていますか?」
「一枚目は自分達で作詞作曲したものをプロの先生に編曲して頂いてます。
相談しながら進めていますが来月から録音とDVDのための撮影に入れそうです。
二枚目は古い歌のカバーアルバムで、別の先生に編曲をお願いしています。
この二枚の制作は子会社化する事務所の方で仕切って貰います。
三枚目は一枚目以上に実験的な作品を考えています。
百人一首の世界を題材にし、例えば…。
『忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで 』
と詠んだ後、この和歌をイメージした歌を、一つは口語調の歌詞で、一つは古文の歌詞で、もう一つは英語の歌詞でと、三曲作る予定です。
国語の先生、英語の先生、音楽の先生が十人程集まりチームを組んで作業を始めています。」
「えっと…、その意図は?」
「教材です、古文に親しんで貰う事が第一の目的ですから、あまり売れないでしょうね。
でも、話を持ち掛けた先生方は面白いと、岩崎高校生会議にも古文関連の学習研究チームは有りますがあまり活発ではないそうで、新しく古文のルールに則っとった歌詞を作ってみる事で何かが見えて来るかも知れないと話して下さいました。
CD化まで出来なかったとしても、番組で取り上げて貰うつもりです。」
「普通のアイドル、他のアーティストがしない事を積極的にやって行くのですね。」
「はい、予定しているCDも伴奏にはマイナーな楽器も取り入れて行く方向でお願いしています。」
「先生方の取り組みにも取材が入るのですか?」
「ええ、学校改革が進んでいるからこそ、この様な取り組みが可能なんだという視点でも。
国語の先生は若い頃、経験のないバレー部の顧問にさせられて随分苦労されたそうです。」
「英語の歌というのも必要なのですか?」
「はい、とても重要です、言語の違いを実感するという大義名分が有りますが、英語の先生に密かに想いを寄せていらっしゃる音楽の先生の為なんです。」
「な、なるほど…。」
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