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久兼剛太-16 [高校生会議2-02]

会社設立に向けての調査研究は高校生会議の活動に組み込んだ。
太一達が乗ってくれたのは彼等の親の多くが社長や会社役員という環境にもよると思うが、仲間意識有っての事だと思う。
会社は高一中心に動いて先輩やサポートスタッフの助言を受ける形にした。
社員は五十名程、まず岩崎高校生会議の企業体験実習前研修を全員で受講。
それと並行して組織作りを進めた。
問題は給料だ、社員がボランティアでは会社とは言えない、だが利益の無い状態では払えない。
そこで、研修ではなくはっきり仕事だと言いきれる労働に対しては時給千円とし、その分の株券もどきを支給する事にした。
実際に株式会社を設立した後で正式な株券と交換する契約だ。
こういった契約も学習の一環としてサポートスタッフから説明を受けながらのこと、研修はゆっくりだか着実に進んだ。
法人登記は理沙が担当してくれた、しっかり調べ書類などを用意、定期テスト最終日の午後に法務局へ、俺達も付き添ったが、係員との話は全て理沙がこなした。
理沙には時給が発生し経理担当も正式な初仕事をこなすだろう。

「理沙、お疲れ、大変だったでしょ。」
「それがね、思ってた程では無かったの、調べた事と違っていたら慌てたかもだけど、書類はサポートスタッフの人に確認して貰っていたしね。
一見難しそうだけど、説明通りにやれば良いだけの事だったの。」
「俺も簡単に確認したけど、その通りだと思った。
でも待ってる間に、ちょっと目に入った人は単純な誤解というか読解力に問題が有ったみたいで係の人に教えられていたよ、それは理沙が間違える様なレベルで無かったみたいだった、高校生でも理解出来る事に対して、司法書士とかが必要な理由だろうね。
まあ、企業や忙しい人はお金を払ってでも専門家に任せるのだろうけど。」
「私にとっては良い経験になったわ、このまま司法書士の資格を視野に入れてみようと思う。」
「私の得意分野では無さそうだから理沙に任せるよ、でもこれで会社の本格スタートでしょ、茜、会場の方はどうなってるの?」
「春休みの土日、交渉していた工場の食堂でオーケーを頂けたわ、会社としても人が集まってくれるのならPRイベントを開催し私達のスポンサーにもなって下さるそうで、剛太社長の根回しが効いてるよって担当の人が笑ってた。」
「剛太、何かしたの?」
「はは、高校生会議第十七支部の次期リーダーになるから、少しづつ挨拶周りをしてるって話したろ。
その時に少し提案させて貰っただけだよ、マーケットにPRイベントが重なれば集客力が高まると思ってね、当面百万円ぐらいまでなら株式を引き受けて良いと話して下さったよ。」
「それなら品揃えも豊富にして成功させないといけないわね。」
「留美、商品提供者への営業活動はどんな感じなんだ?」
「不用品買い取りは売れ残ったら自分達で買ったり福祉施設へ寄付出来たりする物に限定、報告を受けてる分だけでも、それなりの量が集まりそうよ、幾らで引き取って幾らで売るかは納得して頂いてね。
売れ残りそうでも値引きせず福祉施設へ寄付という形には賛成して下さる方が多いみたい。」
「趣味で作った作品の方は?」
「ウエブサイト構築スタッフは結構苦労してるみたいだけど、もう直ぐ仕事と言えるレベルで、販売する作品を紹介するページを完成させられそう。
皆が良いと感じてる物はオークション、売り切れた作品は受注生産の話を販売担当が問題なく出来る様に体制を整えているわ。」
「利益率はどう?」
「製作者サイドとの話では、自分が作った物を気に入って買ってくれる人がいるのなら嬉しいという人が多いみたい。
しっかり売ってサイドビジネスにしたいという人には具体的に今後の販売体制を提案しようと考えて貰ってる。
それとね、半製品を扱ってみようと思うの。」
「半製品?」
「おしゃれ雑貨のパーツを用意して、そこから自分で完成させる、一からの手作りだとハードルが高いけど、パーツを組み合わせて最後の作業だけというレベルから、少し踏み込んでオリジナル度を高めるのも有で、テスト期間が終わったから検討チームが動き始めるわよ。」
「オリジナル商品の形で販売するの?」
「出来れば春休みのマーケットまでにね、どこまで出来るか分からないけれど。」
「他の商品との差別化を計りたいね、どうせなら全国展開も視野に入れてネーミングやパッケージ…、ストーリー性とか…、あっ、ターゲットをどこに置くかも重要だな。」
「しばらくは試行錯誤する事になりそうね、でも複数の企画を同時にスタートさせて大丈夫かしら。」
「一つに絞って行き詰ったらお終いだろ、今は、数打ちゃ当たる、的な発想は良く無いが今まで出て来た案は工夫次第でどれも成功出来そうな気がするんだ。
おしゃれ雑貨だって…、幼児向けに教育的要素を取り入れたり、大人向けに完成品を買うと高くなるところを自分で完成させる事によってオリジナリティーが加わり安価に成るとかね。」
「そっか、チームの幹部スタッフにすぐ指示を出すわ。」
「留美、焦らず迅速にね、スタッフが混乱しない指示は出せる?」
「あっ、そうね、理沙、剛太の指摘が的を得過ぎている気がして…。」
「製造関係の事情は私の方で調べるからね、でも対象年齢毎に色々な可能性は有ると思う。
如何にアピールして行くかが問題だけど。」
「岩崎の力を借りれば簡単かも知れないけど、今は自力を試す時だな。
赤字になりそうなら俺が動くから、今は試行錯誤して行こう。」
「その自信は何処から?」
「自分の政治力と胸を張りたい所だけど…、まあ可愛がって下さる方の多さかな。」
「剛太、おばさま方の毒牙に掛からないでよ。」
「はは、大丈夫だよ。」
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