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再生-435 [花鈴-44]

「優先順位か…、確かに難しいかも。」
「政治の役割として、沢山有る政策に優先順位を付け予算配分を行う作業が有る。
 そこには当然利害関係が有り、関係者全員を納得させるのは不可能、そこが政治の難しさでも有る。
 より多くの人に納得して貰えれば次の選挙で当選出来るだろうが、多くの人が納得出来ないことをすれば落選の確率が高くなるだろう。」
「父さん、優先順位を高めて貰う為に賄賂を贈ったりとか不正が行われて来たと考えて良いんだよね。」
「ああ、もっとストレートな感じの贈収賄事件も有ったみたいだがな。」
「支所の人達は真面目だから、住民からのお歳暮やお中元は一切受け取らないって聞いたけど、真面目で無ければ受け取る人もいるのかしら?」
「どうかな、ただ、国家公務員として、かなり出世した人の奥さんは送られて来るお歳暮やお中元を送り返すのが大変だったそうだ。
 贈る側としては普通に受け取る人が多かったから普通に送っていたのかもな。」
「立場上受け取れない物を贈られても迷惑でしかない、でも、それぐらいは問題ないと受け取ってしまう人もいる、その辺りの感覚に違いが有るのね。
 うちは公務員では無いからお中元やお歳暮が山ほど届くけど、それによってお父さんの判断が変わることは有るの?」
「全くない、まあ、面白い物なら印象には残るが、高価なウイスキーとかではな。
 どれだけ高価な品でも、必要なかったり興味の無い物だったら誰かにあげるだけ。
 大体、適当な物を贈ってうちとの関係を強化出来るだなんて、送りつけて来る奴も思ってないだろう。
 担当者は今まで通りにと、何も考えずに同じものを送って来てるのではないかな。」
「下手に変えて機嫌を損ねたらとか考えていそうね。」
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再生-434 [花鈴-44]

「そんな制度を変える事は簡単ではないと思うのだけど、全く無理なのかしら?」
「人それぞれ考え方は様々だからな。
 共産主義が良いと言う人や社会主義が理想だと考えてる人もいるし、王政や条件付き独裁国家は有りだとかね。
 有史以来様々な国家が存在して来たが完璧な国のシステムは未だに出来てない。
 今の世界情勢を見てると、この先も難しいと思うよ。」
「AIが発達しても?」
「人間は最終判断までAIに委ねることはしないと…、言い切れないが…。」
「判断か、政治家が判断する根拠は役人がまとめたものだよね?」
「ああ、大臣でも自分の担当してることに対して素人です、なんて人も少なからずいたのだから役人に言われるがままだったとしても不思議ではないな。」
「与党と野党で意見が分かれることが多いのでしょ?」
「ああ、野党は与党とは違った案を出したいと考えている。
 違った案を出したとして、政治的判断で一番難しいのは、二択のどちらを選んでも結果は似た様なことになるけど、そのプロセスに置いて利益を受ける人が偏るような場面だと思うんだ。」
「う~ん…、どっちを選んでも結果に大差がないと、かえって判断しにくいか…。」
「そんな案件ならAIに判断を任せて良いんじゃないの?」
「AIが判断材料とするデータに間違いが無ければな。
 花鈴、完璧なデータって作る事が可能だと思うか?」
「無理なの?」
「無理だな、ネット上のデータを元に判断しているAIは普通に判断ミスをしているんだ。
 政策に関するレベルとなると、利害関係が複雑になって…、極端な話、一人を殺しても十人の生活が豊かに成るのであれば良しと判断する可能性だって有る。」
「有りうるな、花鈴、社会の様々なことに対して優先順位を付けることは難しいと思わないか?」
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再生-433 [花鈴-44]

「知事の思惑で大規模工事が進んでない所があるけど父さんはどう考えてる?」
「自分の県にとって直接的な利益にならないからと、ごねてるだけだな。
 それによって多くの人達が不利益を被っているのだが、法的にはどうにもならなくて不運としか。
 どんな組織にも言えることだが、優秀なリーダーを得られるかどうかには運の要素が有ると思う。」
「アメリカの大統領選挙もご老人と…、自分だったらどちらにも一票を入れたくないよ。
 それでもどちらかが大統領になるということは、お金の有るまともな候補がいないのか、アメリカ人は気にしてないと言うということなのかな?」
「国民は所属政党に関わらず支持したくなるヒーローを求めているのだろうが、大統領選挙には資金が必要、自身がお金持ちか、強力な支持が多くて選挙資金が潤沢でないとだめなのだろう、資金を集める能力が、そのまま政治手腕と捉えられているのかもしれないね。」
「ねえ、日本の総理大臣は国民の直接選挙で選ばれてはいないのでしょ?」
「ああ、与党の代表者がなるから、その決め方は与党の判断になる。」
「そこに色々な思惑が絡んでいそうだな。」
「どんな?」
「自分が将来大臣になるには、どの人に媚びを売っておくべきなのか、そんな感じなのでしょ?」
「ああ、国会議員は次の選挙に勝てるかどうか、その資金、将来大臣になるには…、そんなことばかり考えてるのではと感じることが有るよ。」
「会社でも政治家のパーティー券を買ったりしてるの?」
「多少はな、政治家との悪意ある癒着はダメだが、政治家だって資金を必要としている。
 選挙によって選ばれる議員、その制度が有る限り議員とお金の問題は無くならないだろう。」
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再生-432 [花鈴-44]

 夕食時、父と政治家の話を…。

「そうだな、政治不信はずっと前からあるが、今は内閣支持率が本当に低い。
 度々不祥事を起こして来た与党だが、野党が情けないから野党よりマシと言う理由で票を入れてた人は、もう諦めるしかないのかもな。
 ここの市長には人間的に信頼出来る人を推そうと考え準備しているが、選挙に勝とうと思ったら多くの協力者が必要になるだろ、その辺りが難しいのだよ。
 市長選は政党に拘ると票を集めにくくなるから無所属で立候補となるが。」
「父さん、今の市長は人気が無いと聞いたことがあるよ。」
「まあな、失言が有ったし、反対運動の起きてる計画も有る。
 ただ、だからと言って落選するとは言い切れないし、別の候補が当選するかもしれない。
 選挙運動で能力の高さをアピールするのは難しいし、現市長は市長としての知名度が有るだろ。
 有権者の中には、単に顔が好みだからと言う理由で投票する人もいるからな。」
「余程の有名人で無い限り、有権者は立候補者のことを殆ど知らずに投票するのでしょ?
 市長として動き始めた人を見て後悔することも有るのではないかしら?」
「沢山有ったと思うよ。
 支持してる政党に裏切られた気持ちになることもね。」
「お父さんも裏切られたことが有るの?」
「ああ、でも、知事や市長は全国に大勢いるが、問題になる人は僅かだと思う。
 まあ、その僅かによって大勢の人が迷惑を被ったりするんだ。」
「名古屋の都市高速道なんて工事中に市長が交代して工事ストップ。
 そのお陰で何年も完成が遅れてしまい、随分無駄なことをしたんだ。」
「やはり公害が理由?」
「まあな、しかし、都市高速で信号待ちを減らした方が空気が汚れないし、無駄な燃料を減らせるからメリットの方が大きいと思う。
 市長は一部の反対意見と全体的な利益を考えて判断を下す立場に有るのだが、当時の市長は判断を大きく誤ったと思うよ。」
「市長の判断次第で大きな損失を生み出すことも有るのね。」
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再生-431 [花鈴-44]

「難しいだろうな。
 賄賂を受け取ったとか選挙での買収なんて昔から有ることだろ。
 そんなことをする人かどうかなんて有権者には分からない。
 選挙に勝てば、問題発言が有ったりしても違法行為で無ければ簡単にやめさせることは出来ない。
 恥ずかしい発言をしてることに気付かないレベルでも知事や市長にはなれるのだよ。」
「老害?」
「それも有るのかな。
 でも有権者が選んだ人なんだ。
 民主主義の限界かもな。」
「この市の政治家達がまともな人達だと祈るしかないのかしら?」
「どうかな、市政に関しては全く調べて来なかっただろ?」
「お父さんは調べていそうね。
 次の市長選挙を見据えているぐらいだから。」
「俺達ももっと政治に目を向けるべきなのかも、仕事に影響することも有りそうだろ?」
「法の改正が私達にとって不利益になる可能性が有るのよね。」
「逆も有るのだろうな…、そんな時に賄賂を渡したら逮捕される訳だ。」
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再生-430 [花鈴-43]

「政治家の問題行動が、よくニュースになるよね。」
「それだけ責任ある立場だからな。
 立法府である国会の議員が違法行為を行っていたのでは話にならないだろ。」
「あの市長、金銭がらみの不祥事を起こしていなければ良いのだけど。
 政治に関わる人達ってどうしてあんなに違法行為に走ってしまうのかしら?」
「自分は特別だとでも思っているのかもな。
 ただ殆どの議員は真面目で、ニュースになるのは極一部、大きく取り上げられるから目に着くけど。」
「そうよね、過疎地によっては議員の成り手がいなくて困ってるという話も聞くし。
 ここは面積の広い市の一部だから、その心配はないみたいだけど。」
「それでも本気で再生を考えるのなら、議員選びは慎重にならないとな。
 俺達に選挙権は無いけど…、票を集められる能力が有っても市の為に働けない人ではダメだろ。」
「本当の意味で優秀な人は政治家の道を選択しない気がするわ。
 選挙で当選しなくてはならないし、一度当選したからと言って、次に当選出来る保障は無いでしょ。」
「だな、その辺りに問題が有るのかも、金銭がらみの不祥事を起こす輩は、選挙に勝つことばかり考えていそうだよ。
 うちの経理部長は政治家に失望し過ぎて諦めたと話してたぐらいだからな。」
「人々を失望させてる政治の現場は再生出来ないのかしら?」
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再生-429 [花鈴-43]

「それでも区画整理の話は進んでいるのだろ?」
「ええ、役所が絡むから時間が掛かりそうだけど、まずはまとめて手に入れた土地ではね。
 取り敢えず私道として整備してから市と相談して市道にするか、始めから市道として整備するかで市長とも相談中。
 市としても再開発は嬉しいことでしょ、うち関連で税収が増えてるのだから道路ぐらいは作って欲しいわ。」
「市から何か要求はあるのか?」
「市として農業公園に関わりたいそうだけど、具体的な話はまだ何もなくてね。
 ごちゃごちゃ言われる前に再開発計画を完成させ、工事を始めたいのよ。」
「土地を手放さない人がネックになりそうだよな。」
「うん、一応調査して全く協力してくれ無さそうな人の土地を避ける形での区画整理と道路整備を考えているのだけど、市が絡むと微妙なの、市長としては、より立派な公園にしたいみたいで。」
「と言う事は道路以外でもお金も出すつもりなのか?」
「そこなのよ、自分とこの予算はあまり使わず、公園整備には関わってるとアピールしたいみたいなの。」
「こちら側としてはどうするんだ?」
「お父さんは、市と良好な関係が作れるなら、市の予算は道路建設の他は少しにして、それでも市長が活躍したみたいな感じにしようって。
 次の選挙で彼が落選しても影響は少ないからと。」
「確かに一月の発言は撤回したとは言えイメージを悪くしたからな。
 うちの事業を後押しするとアピールするのも選挙対策だろう。」
「でも、お父さんは前から対立候補の準備をしていたそうでね。
 その人が当選したとしても直接的な金銭的利益を発生させてはならないのだけど、再開発などで動き易くなることは間違いないのだとか。」
「不正はダメだけど、まともに手続きしても市長の気分で遅くなることが有ったって話してたものな。
 本社移転は市にとってメリットしかないのに、市長個人には何の見返りもない事が不満だったみたいだったとか…。」
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再生-428 [花鈴-43]

「そこまで考えると法的…、政治的な要素が…。」
「国家には国民の権利を守る義務が有るが、長期間に渡って放置されたままの土地は都市部にも有るそうでね、限られた土地が有効利用されてないことに納得の行かない人は少なく無いのではないかな?」
「都市部では固定資産税がそれなりの額になるのに?」
「空き家対策特別措置法によって特定空き家に指定されたら固定資産税は六倍になる。
 ただ、周辺環境に対して問題の有る物件が対象。
 空き家でも周りに迷惑を掛ける様な状態になって無ければ、使われない土地家屋が残り続けるのさ。
 固定資産税なんて安いものだと考えてるのか土地価格が上昇してから売ると考えてるのか分からないが、地主はお金に余裕が有るのだろうな。」
「そのお陰で残念な土地が…、お兄ちゃんは法律を厳しくして空き家を減らしたいと?」
「単純な話ではないのだけど、そうすべきだろ。
 少なくとも都市部の空き家は無駄でしかないと思わないか?」
「そうよね、ここでも無駄に放置されてる耕作放棄地が景観を損ねてるし。」
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再生-427 [花鈴-43]

「俺達は恵まれた環境に有るから、多少のハンディが必要だと思ったのだけどな。
 花鈴達も弱者に目を向けた事業展開をしてるだろ。」
「小規模なのとYouTubeチャンネルからの収入が有るから出来ることだと理解してるわ。
 会社の基本方針がこの地の再生だから協力者も多いし。
 お兄ちゃんは会社を再生した後の展開をどう考えてるの?」
「うちの会社を社員にとって働き易い状態に出来たら、それを取引先企業にも広げられたらと思ってる。
 各取引先の様々な状況を詳しく調査した上でね。」
「取引先と言っても大小様々でしょ?」
「うん、うちが倒産していたら連鎖倒産してたで有ろう会社があるし、殆ど影響を受けなかったと思える会社もね。
 調査結果次第で買収を考える所が出て来る可能性を考え始めているんだ。」
「効率重視?」
「それがメインだが、労働環境の改善を進めないといずれ人手不足に陥りそうな会社も有ってさ。
 その前に企業買収出来るだけの余力が必要だけどな。」
「リニューアル商品が価格を上げたのにバカ売れしてるみたいだから見通しは立っているのでしょ?」
「まあな、花鈴が宣伝してくれただけで売り上げが一気に伸びた。
 ただ、利益は、まず設備投資に充てる必要が有るんだ。
 老朽化した機械では効率が悪いだろ。
 中小企業は人材募集に苦労してる、今より社員が減っても工場を回せる様にした上で、もし人材を集められたら更なる発展を考えられるんだ。」
「そっか、うちはここへの移住を考える人が増えてるから、それに乗っかってるけど、普通の過疎地ではね…。」
「過疎地には大規模農場の可能性が有りそうなのだけど、北海道ぐらいでないと難しいみたいだな。」
「そもそも山奥の過疎地にまとまった平地は少ないし、土地の所有者がね…。
 土地の区画整理を進めたくても、先祖からの土地だから手放せないとか、所有者が分からなかったり。
 私達が動き始めなかったら誰も欲しがらなかった土地なのに、もっと高く売れる様になるまで待つと言う人もいるのよ。」
「使われて無い土地の個人所有にはもっと制限が有っても良いのかもな。」
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再生-426 [花鈴-43]

「エリア内の調査結果では、真面目に人手が欲しいと考えてるのはうちぐらいなのよ。
 安い給料で社員をこき使ってる会社が幾つか有ると分かったけど、そこに将来性は感じられなくて。」
「そんな会社でも働いてる人がいるのだよな…。」
「人それぞれ、様々な事情が有るのよ。」
「う~ん…、そんな人達の生活改善も考えて行かないと…。」
「そんな会社の買収は、収益性を考えたら効率悪いわよ、お兄ちゃんは効率重視でしょ?」
「まあな、でも事業展開に成功した自分を思い描いた時に、お小遣いが月に十億と考えてみたのだけど、そんな額は贅沢を余程頑張っても使い切れないだろうと思ったんだ。」
「必死になって無駄遣いしないと無理で疲れるかもね。」
「今の自分は生活費を考えなくて良いから気楽に生きてるけど、そうではない人の存在を知った。
 別に人助けとか高尚な考えでは無く、ゲーム感覚で人の為にお金を使い、その過程で利益を得て行くスタイルを目標にするのも有かとね。」
「人助けをしながら利益を得て行くことが目標?」
「悪くない考え方だと思わないか?
 労働者の環境改善を考えられられない経営者から、労働者を開放する勇者とか。」
「悪くは無いけど、通学から解放されてゲームをやり過ぎてた人の発想かも。」
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