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振り返りながら-05 [このブログのこと-01]

「亜紀、全小中学校に1人1台のパソコンを配置ってニュース知ってる?」
「ええ、見たわ。」
「どう思う?」
「どうなのかな、良く分からない、何か問題でも有るの?」
「有効に活用出来ない教師が少なからずいると思わないか?
物を配るだけなのか、それを活かす体制に多くの費用を充てるのかで教師の負担とその効果は大きく変わると思うんだ。」
「あっ、そうか、小学校での英語教育とか、今までのパソコン導入でも教師の負担が増えたという記事を目にした事が有るわ。
一人一台と言っても、使いこなせる子ばかりではないだろうし…、でも、個人の学力差を埋めるアイテムとして活用出来たら一気に無駄が減るとは思う。」
「当然、弊害も考えられるだろ。」
「そうね、遊びの道具に、でも遊びの中から学ぶ事も有るのでしょ?」
「まあな、だが、いじめの切っ掛けや、その道具にもなりかねないだろ。」
「そこを指導して行くだけの力量が教師に有るかどうかね。
子どもより使えない教師もいそうだし。」
「教師だからと言って特別頭の良い人ばかりでは無いからな、頭の良い子なら軽く教師の上を行きそうだよ。」
「スキルの問題ね、セキュリティ問題や維持して行く手間は計算に入っているのかしら。
十二分に活用して行くのなら、ソフトを充実させて行く必要が有るわね。」
「怪しげなサイトから情報収集して、誤った知識を身に付ける可能性も有る、そう考えると教育用データベースを充実させる必要も出て来る。」
「そうねWikipediaだって参考にはしてるけど、絶対的に正しい情報とは言い切れないのよね。」
「まあ、作る気が有るかどうか知らないが、教育用データベースでも本当に信じて良いものが構築されるかどうかは微妙な気がする。
韓国で反日教育が成り立つのなら、そこまで行かなくても、制作者の意図によって偏りが生じる可能性が有ると思わないか?」
「私情が入るってこと?」
「そうだな、ネット社会になって情報量は増えたが、その質はひどいものだ。
まあ、新聞報道の偏り、信頼性の低さを気付かせてくれる事にはなったが。」
「結局、配られたパソコンがどう使われるかなのでしょ。」
「そうだな、良い教材ソフトを活用出来れば効果的な学習が出来る、だがそのソフトの予算を考えているのだろうか。
低レベルな大臣を見せつけられたから怪しいとしか思えない。」
「導入のコストにしか目に行ってなくて、そのランニングコストを考えて無かったら、ただのバカでしょ。」
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振り返りながら-04 [このブログのこと-01]

「中途半端な終わり方は『F組三国志』もでしょ。」
「ああ、出だしは良かったが、色々失敗した。
登場人物を増やし過ぎたし、構想に無理が有ったな。
高校生を爽やかに描きながら、学校生活が楽しくなる方法を考えてみたり、そこから組織を発展させてと思っていたが、結局、どうエンディングに持って行けば良いのか久しぶりに読み返してみても思い浮かばないんだ。」
「最後の方で急に話が広がった気がするわ。」
「う~ん、そうだな…、最近書いてたものより、途中まではじっくり書けてた気もするが、気持ち的に余裕の無くなった時期だったかな…。
何とか締めくくりを書きたい気もするのだが…。
ねえ、亜紀の高校生活はどう?」
「そうね、天才のいない普通のクラス、校則が厳しい事も無くて生徒の自主性を重んじてくれてる高校、F組みたいな訳には行かないけどそれなりに充実してるわ。」
「やはりみんな進学をプレッシャーに感じているのかな?」
「人それぞれだと思う、私は親が学歴を気にしない人だからそれ程でもないわ。」
「将来の目標とか有るの?」
「教育に興味は有るけど、現場の実態がブラックだったりするでしょ。
一応、このブログの教育に関係する部分は自分でも掘り下げてみたいと思ってるけどね。」
「嬉しいね、夢物語みたいな話が多いけど教育改革は進めて行くべきで、特に義務教育期間の無意味な授業は減らして行くべきだと思うんだ。」
「それには賛成、中学の頃、学年順位一桁の私と、やる気がなくて授業妨害する人が同じ教室で同じ教師の同じ授業を受けなければ行けないなんて無駄が多過ぎると感じてた。
参考書を見れば理解出来る事をくどくど説明する教師もいたしね。」
「高校ではどう?」
「各中学の上位者が切り取られている訳だから全然違うわ、私達を大人扱いしてくれる教師も少なくないしね。
まあ、推薦で入学した人の中には苦労してる子もいるけど。
真面目さと学力が比例するとは限らないでしょ。」
「ああ、公立中学でも地域によってかなりの学力格差が有るからね。
その推薦で合格した子も中学では学年トップクラス、オール五だったのかもな。」
「うん、そうみたい、中学は少し荒れ気味だったと話してたわ。」
「入試は県単位で一律の制度だから難しくは有る、まあ、絶対的に公平な制度なんて有り得ないよな。」
「そっか…、そうよね。」
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振り返りながら-03 [このブログのこと-01]

「終わり方の失敗例は『権じいの村』だな。
十回を一括りにしてLentoよりはまとまった形に出来たのだけど、エピローグの頃、有り得ない話の最期は主人公が暗殺される様なイメージしか湧いて来なくて挫折。
楽しく書きたいから嫌な出来事は起こしたくなかったんだ。」
「エピローグだけ四回で半端なのはそういう事か。
長編じゃないけど『ぽっぽのぴっぽ』は、その前に書いたのでしょ。」
「ああ、童話風だけど内容は大人向けのつもりで書いた。」
「十一回だけなら、このブログの中で一番まとまってると思ったわ。
テーマもはっきりしてるし。」
「有難う、『ぴっぽと』で失敗したのだけどね。
『ぽっぽのぴっぽ』だけ読んで、続編を読みたいと言ってくれた子がいたのだが、まともな続編が全く思い浮かばなくてね。」
「その辺りに限界が有るのか、で、その子って?」
「当時高校生だったかな、まあ君と同じくらい可愛い子だったよ。」
「はいはい。
それで『権じいの村』の切っ掛けは?」
「過疎の問題を研究した訳では無いのだけど、大学の研究室を一つの過疎地に集中させたら、過疎地の一つや二つ、簡単に賑やかに出来るのではないかと思い至ってね。
非現実的では有るのだけど、農学部の農場や土木、建築、老人福祉などの研究室が大学の垣根、学部の垣根を越えて協力したらなって。」
「現実的ではないのね。」
「まず、強いリーダーが必要なのだが…、実現出来たら学生達の視野が広がると思って書いていた。」
「教育関係はあちこちで出て来たわ。」
「まあ、主張したいことの数は多くないけど…、亜紀は進学希望なの?」
「地元の国立『化け猫亭』小夜さん達の母校が第一志望かな。
『化け猫亭』では実際の学校名が出て来ていて他とは違うと感じたのだけど。」
「あえて名古屋を出してみた、一応、全国的に名前が知られていそうな学校を中心にしたけどね。
そうそう、将棋の藤井聡太七段にもご登場して頂いたが、彼が中高一貫の私立高校に通ってるという勘違いをしばしば目にするんだ。」
「国立よね、名古屋大学教育学部附属高等学校。」
「うん、何か進学校とかいう文字も目にするが、あまりそういうイメージはなくてね。」
「誤解?」
「昔の話だから今は知らないが、そこの生徒と話した事が有ってな、教育学部の目的を考えたら、進学の為の学校では駄目だろ。」
「あっ、そうよね。」
「だから中学入試には抽選の要素が加味されていると聞いていたんだ。」
「頭が良いだけでは駄目なの?」
「運が有れば学力的に劣っていても合格出来るシステムだと、今はどうなのか分からないがね。」
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振り返りながら-02 [このブログのこと-01]

「ねえ、振り返りながらと言う事は反省会なの?」
「まあ、そういう意味合いも有る。
このブログはスタートから何度かの中断や、文が書けなくて写真という時期もあってね。」
「随分雑よね。」
「ああ、否定しない。
まあ、自分の気晴らしで書いて来たからな。
諸事情により挫折したお話も有る。」
「カテゴリーは単純に下が古いと言う訳でもないのね。」
「うん、まあ、長いお話はLentoが一番古いかな。」
「切っ掛けは?」
「そうだな、貧乏だからお金持ちの話を書こうと思った。
ただ、お金持ちの事情が良く分からなくて、失敗している。」
「どの話でも、やたら美人が出て来るよね。」
「まあ、その方が楽しいだろ、取り敢えず可愛いとか美人とか書いとけば、読んでる人は自分の基準で想像して下さるかも知れないし。
う~ん、亜紀は可愛いから美人へ変わって行く途中だね。」
「はは…。」
「Lentoでは店のシステムを想像し、どんな人達がどんな風に働いていたら楽しいか考えていた。
そして和音と言う天才ピアニスト、そう天才も好きなんだ、自分は頭が悪いから。」
「天才ピアニストと書いてしまえば…、文章だと誰もその演奏を聴くことはないものね。」
「うん、演奏を文で表現しようとしたことも有ったが失敗している。
でも天才ピアニストを想像するのは楽しかった。
そこから発展させて行く内に組織が出来上がり、その組織の可能性に目が行き始めた。
社会学的考察をお話の形で表現というスタイルの始まりだね。
もしお金持ちのお嬢さま方が社会問題に真剣に取り組んだらという想像の世界。
文才が無くて小説は書けないが、お話の形で社会問題と向き合って行こうかと。」
「テーマは雑多だけど、確かに社会問題に関係するお話しかな。
でも、あまり掘り下げているとは思えないのだけど。」
「広く浅くが身上なのと、ろくに調べもせずに想像だけで書いて来たからな。
掘り下げてると疲れそうだし。」
「あくまでも気晴らしなのね。」
「そういうこと、行き当りばったりで起承転結なんて考えられないから、終わり方が超下手でね。
その時の調子にもよるのだけど。」
「だから小説は無理なのね。」
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振り返りながら-01 [このブログのこと-01]

「ねえ、私の名前はどうするの?」
「う~ん、取り敢えず、お梅とかでどうだ?」
「え~、何か年寄り臭いわ。」
「不思議なんだよな、桜なら若い女の子の名前として違和感が無いのに、梅だと古風な感じがする、で何歳だっけ?」
「そうね、永遠の十七歳ってどう?」
「十七ね…、まあいっか。
桜という名前はどこかで使ったから…、う~ん…、今は秋だから亜紀とでもするか。」
「亜紀か、まあ良いけど、このブログには色々な登場人物が出て来たでしょ、やはり名前はいい加減に付けてるの?」
「ああ、なるべく知ってる人物と被らない様にしてるけどね。
嫌な人物には名前を付けずに役職名とかにしている事が多いから、同名の人を傷つけていないと信じたい。」
「秋だから亜紀って安易だけど、漢字は選んだのかしら?」
「勿論さ、あきと打ち込んで変換された中からね。」
「で、永遠の十七歳、亜紀は何故ここに?」
「私の話し相手さ、どうせ暇だろ。」
「どうせってのが引っ掛かるわね、ちゃんと高校生とか働いてるとかの設定にしてくれないの?」
「じゃあ高校生と言う事にでもしておくかな、で、おバカ系は好きではないから宜しくな。」
「はいはい、それで『振り返りながら-01』『このブログのこと-01』となってるという事は続けるつもりなのね。」
「まあな、例えば『ジャパネットの働き方改革』
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191124-00000006-nikkeisty-bus_all&p=1
なんてリンクを張って話してみたりとかね。」
「ふむふむ、このブログでも企業の効率化とか適当に書いてたわね。」
「うん、そんな中で十億の利益目標を五億にして五億を社員の福利厚生にといった様な話を何処かで書いたんだ。
そんな事を考える経営者なんて、いないだろうと思いつつね。
そしたら、『うちは上場企業でもないので、そこそこ業績が良ければ社長である私に報酬があります。ではあと5億円の利益が上がれば自分が幸せなのかと考えると、そのときにお客さんがハッピーで社員もハッピーでなければ意味がないと感じたのです。』とあってね、この精神だと思うんだ。
経営者の多くがこう考えていたら、日本はもっと心豊かな国になっていたと思わないか。」
「利益を上げる事は大切だけど、ブラック企業じゃダメって事でしょ。」
「まあ、企業も生き残って行くのは大変なのだろうけどね。」
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それから-10 [シトワイヤン-35]

苗川での大銀河帝国建国記念祭のメインイベントは午前中に開幕した。
前座は世界のトップスター達、姫さまに捧げる歌や大銀河帝国を讃える演奏が続く。
前座のエンディングでは世界各地から祭りの映像が流され、そのBGMはWe Are the World。
古い曲だが、建国記念祭バージョンとして、英語で始まり途中から様々な言語に変わって行く。
映像に合わせ延々と歌い続けられる曲の録音には世界各国から多くのミュージシャンが参加してくれた。

「いよいよ姫さまの出番ね。」
「万里は、記念祭に向け、世界中の人達が万里の事を想って下さってるのを感じてると話していましたが…。」
「数十億の人達がこの瞬間を待ちわびていて、その想いが姫さまに届いてるとしたら、何時も以上に祝福を感じられるエリアは広がるのかもな。」

今回の舞台は至ってシンプル、黒一色の背景に姫さまの衣装が映える。
音は両手に持つ鈴のみ、静まり返った館内にシャンシャンと響き渡り、舞が始まる。
すぐに足は床を離れ空中での舞に。
照明が少しづつ落とされて行くのは、姫さまが光を放ち始めたから。
姫さまが自ら光を放っておられることは、照明やカメラとの打ち合わせの時にカメラマンが気付いた。
その時は周りが明るいと気付かれないレベルだったが、今の輝きは、数十億の視聴者から想いを受けとってか神々しく照明を必要としない。
我々はあえて、神の如き存在と呼んで来たが、神の定義とは何だろう。
姫さまを知るまで、空想上の存在として神を捉えて来た人も少なくないと思う。
姫さま自身は、人間だと話されるのだが。
舞は優雅に優美に輝きを増して行く。
姫さまの祝福は私達を愛情で包み込む
それは言葉でなく心の底に感じさせてくれるもの。
生まれ変わった地球市民を文字通り祝福して下さっている。
私の瞳からは喜びの涙が留めなく流れ落ちた。


そして…。

姫さまが静かに舞を終えられた瞬間から、世界中で奇跡の如き現象が…。



- 完 -
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それから-09 [シトワイヤン-35]

今回の苗川滞在中、大銀河帝国建国記念日を中心に開かれる祭のメインイベントとして姫さまの舞が披露される。
このところDVDの撮影は観客に見せない形で行って来たが、久しぶりに観客の前で舞って頂く。
会場は一万人収容のホール、チケットを全席オークション形式で販売した結果、一兆円を超す売上となった。
一席平均一億円以上、それだけの対価を払える人が、この日の為に世界中から苗川へ。
世界中でライブビューイングが行われる予定も有り、視聴時間が現地時間の深夜にも関わらず前売り券完売という話が幾つも届いている。
そちらのチケットは世界共通で二十根、二十ドルで有り、二十ユーロ、二千円。
これらの利益は地球防衛軍がアフリカで進めている活動に充てられる為、世界中どの国でも非課税となった。

「ねえ大銀河帝国建国記念祭はもう始まっているの?」
「どうやら、お祭り好きの連中がフライング気味で始めているらしいな。
今回は、姫さまが世界中の国や地域を、北極と南極を残してほとんど訪れたという記念でも有る。
各国が地球市民の祝日として制定した地球平和の日を中心に一週間に渡る地球の歴史上最大規模のお祭り、地球市民の祭典は昨年もそれなりに大規模だったが、今年のメインは姫さまの舞だろ。
テレビで見るも良し、ライブビューイング会場で見るも良し。
それとは関係なく様々なイベントが世界中で企画されているのだから、まあフライングも許されるだろう。
細かいプログラムの主催者にとっては、祭りの正式スタートが何日だろうと関係ないからな。」
「人々がお祭り気分となる経済効果は計り知れないのよね。
貯蓄に余裕が有っても、それを使う切っ掛けの無かった人がお祭りに合わせて服を新調したり、姫さまグッズを揃えたり、思い思いのスタイルでパーティーを開いたり。」
「宗教的な約束事を作ってないから、それぞれが姫さまへの感謝の気持ちをどう表すかで競い合ってる節は有るが、どんな形であれ、その心が大切だと理解されている。
信仰して来た宗教の祭りをアレンジしたり全く新しいお祭りを模索したり、世界各地で様々だが、姫さまへの思いは世界共通だと思うよ。」
「苗川では神社のお祭りそのままなのよね、元々日本には八百万の神がいるのだけど…、姫さまの舞は神に捧げるものでなく、人々の為。
小学生の頃から世界平和を意識しておられたのが、現実に舞の力で実現するとはね。」
「姫さまがおられなかったら、今でも、あちこちで紛争が有り、貧富の差がどうしようもない状態のまま、人と人とが傷つけあっていたのだろうな。
自己の利益の為には他人を不幸にしても何とも思わない経営者が大勢いたし、その経営者達も皆が幸福だった訳でも無くね。」
「ええ、そこから世界が大きく変わり、これからアフリカ大改造が本格的に始まる。
私達が大学で出会った頃は、様々な社会問題と向き合い理想論とか話し合っていたけど、こんなに早くここまで変わるなんて思いもしてなかったわね。
アフリカの大自然を守りながら、人々の生活改善をして行くのには、まだ課題も多いけど。」
「まあ、どんな猛獣も姫さまには大人しく従っていたからな、百獣の王という称号はライオンから姫さまに変更、百獣の中に人間も含まれると言う事で間違いない。」
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それから-08 [シトワイヤン-35]

久しぶりの苗川、私達は本間さんを訪ねた。

「市長を退かれて如何です?」
「適度に遊びながら、若者たちと交流しているよ。
同年代と話してるより元気になれるからね。」
「本間塾の塾生ですか?」
「ああ、経済環境が大きく変わったので、政治経済への口出しをやめたが、教育関連はね。
教育改革は進んでいるが、まだまだ検討課題が山積みなんだ。
で、お主の子ども達はどうしてる?」
「今は姫さまの館で遊んでます。
旅立つ前とはすっかり変わってますので、探検気分みたいですね。」
「はは、聞いたよ、迷路みたいになってるのだろ。
トイレから広間に戻るのに苦労したという話を聞いたぞ。」
「行きに苦労させるのは酷ですので、帰り道に仕掛けが有るのです、来た廊下を戻ってるつもりが知らぬ間に全然違う所へ、私もやられましたよ。
今は何階建てなのかで意見が分かれているそうで、二階とするか中二階とするか微妙な所が…、そんなのがあちらこちらに有りましてね。
表から見た感じは五階建てぐらいなのですが裏は斜面を下に伸びてますし、地下室も結構な規模になっていまして。
今は案内なしで回る気にはなれません。
姫さまはそれを楽しんでおられるのですが。」
「姫さまが喜んでおられるのなら問題ないな。
で、四歳の息子とはどうなんだ?」
「仲良くやってまして、姫さまは本間さん同様、教育を考えておられます。
私達が、ずっと姫さまと共に旅をしていた御蔭か、どの子も知性が高くて、教えられた事をどんどん吸収、スタッフからも様々な事を教えて貰っています。
姫さまが、長男に関してどれぐらい本気なのか冗談なのか分かりませんが、将来夫となるかも知れないと、教育方針の相談を私達とも。」
「その可能性はあるのか?」
「姫さまは不思議な人ですので…。」
「何にしても久しぶりに会いたいね、裕くんだったかな、私は天才児と呼ばれている子の教育にも関わっているんだ。」
「お願いします、苗川大改造に関する本間さんの著書は、しばらく前に愛華に手伝って貰って読んでいましたので。」
「清香くんの子ではなかったのかな?」
「関係ないです、私達は誰のお腹から出て来たかに関係なく接しています。
智里の子を清香があやしている時に、智里が愛華の子と遊んでる何てことは日常で、私達は大家族なんです、そこにスタッフ達も加わってくれていますので。」
「そうか、核家族とは真逆なのだな、プラス面を感じているのか?」
「はい、うちの子達は沢山の愛情によって育てられていまして、母親が仕事をしていても子ども達は誰かが面倒を見ています。
生まれた時からの事ですので、私の子には一応二人の母親がいると教えていますが、あまり意味は有りません。」
「智里の子もとなると、血縁だけでない大家族という事かな。」
「ええ、智里の旦那は子をあやすのが得意で、私の膝の上より彼の膝の方が人気だったりします。
裕は、自分を幼児だとは思っていませんので三歳で卒業しましたが。」
「そうか…。」
「日本でも大家族が良い形で復活すればと思います、世界を周ってみて結構自然な形だと思えました。
喧嘩をすることは有っても子ども同士協力し合い、複数の大人と接しながら成長する。
日本の核家族化は仕事に疲れた大人達が進めたのでは無いでしょうか。」
「う~ん、心に余裕がなかったのかな…。」
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それから-07 [シトワイヤン-35]

久しぶりに苗川へ帰還、今回はファルコン号で。
しばらく上空から町の様子を眺める。
エリア毎に統一感の在る街並みは観光客にも人気。
電柱はなくすっきりしていて、宿場町をイメージしたエリア以外は日本とは思えない佇まいになっている。
姫さまが滞在していなくとも、姫さまの生まれ育った町として、また苗川大改造の成果を見る為に観光客が途絶えることは無いが、今日は姫さまが長旅から帰られると有って特に多いそうだ。

「こうして空から見てると、苗川大改造にドキドキしてた頃を思い出すわね。」
「だな、ホントに実験的な取り組みで、本間さんでなければ実現出来なかった。
国内外からの移住者を受け入れ、周辺の自治体も含めたエリアの活性化に成功している。
自分達も僅かながらに関わらせて頂いたことを誇りに思うよ。
ここをモデルにして改造計画を立ててる町が世界中に有るのだからな。」
「地方への本社移転、その先駆けとなった事も大きいのよね。」
「ああ、それが、東京から日本中の地方都市へ本社移転を促進させ地方の活性化に繋がっている。
元々東京に本社を置く必要は無かったのに、少しばかりの理由を付けて東京一極集中、地方が衰退して行ったのは、企業人の姿勢に依る所が大きかった。
地球市民党、姫さまの登場で市民の意識が変わり、地方都市に活気が戻ったと言えるね。
東京の交通事情も幾分混雑が緩和されたと聞いている。」
「過疎地への本社移転も聞いたわ、何でも大した用も無いのに訪問して来る人がいなくなって、効率が上がっているのだとか。
自然の好きな社員、満員電車から解放されたかった社員が、率先して動いた結果で、不便な所では有るけど、社員が移住し店が増え町が綺麗になって行く、そして広い家に皆さん満足してるそうよ。」
「土地の価格が全く違うからな、今時、通信回線さえ有れば、本社は何処に有っても問題ない、俺たちは地球の裏側から指示を出し報告を受けていたのだからね。
確かに気軽に会えない状態はデメリットかも知れないけど、会社関係の来客に時間を使う事がなかったのは思っていたより大きなメリットだったのかもな。」
「過密状態の東京を考え、地方都市の衰退を考えたら普通に実行出来た筈、それでも苗川というお手本がなかったら踏み切れなかったのよね。」
「市民の意識改革が進んだ結果でも有るな。
私達に関係する企業の一部は、大銀河帝国の自治領に本社を移したが問題なく機能している。
今の日本に税収の心配は要らないからな。
ただ今後は、今の好景気を如何に持続させて行くかだ。」
「ふふ、和馬を総理大臣にしてと画策してた人達はがっかりしてるでしょうね。」
「総理大臣なんかになってしまったら、折角どさくさに紛れて掴んだ姫さまの側近という地位を失ってしまうし、日本で一夫多妻は認められないからな。
自由気ままにファルコン号で姫さまと旅、これに勝る生活はないだろ。」
「地上の全てが私達の庭ですものね、行って無いのは南極と北極ぐらいかしら。」
「そうだな…、姫さまはペンギンと遊んでみたいと仰っていた、検討してみるか。」
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それから-06 [シトワイヤン-35]

姫さまを中心とした大銀河帝国が拡大するにつれ、大きく変わった事の一つが宗教。
地球の長い歴史の中で、舞姫さまの様な存在は皆無だ。
たとえ釈迦やキリストの時代に情報網が発達していたとしても、そう、キリストは磔刑されたのだから、姫さまとは根本的に違う。
大銀河帝国は他者を傷つけない限り宗教を否定せず尊重して来た。
国民達は姫さまに忠誠を誓い慕いつつ、それまでの信仰と向かい合う。
姫さまの存在については宗教家によって様々な解釈が試みられたが、彼らが信じて来た神の定義に当てはまる訳もなく、姫さまに忠誠を誓う者にとって、それは無意味な作業でしかなかった。
結局の所、伝統的文化として尊重するが、それに縛られないという形が浸透。
それでも文化遺産として偶像は軽んじられる事無く大切にされている。
姫さまは舞の舞台として宗教関係の世界遺産を選ばれる事も。
そんな時は姫さま自らその歴史的背景を語られ、今の社会は多くの先人達の血と汗と涙によって築かれたもので有り、祖先に思いをはせ、感謝の気持ちを持って、この地を使わせて頂きましたと。
かつて宗教間では様々な対立が有ったが、我々はそれを過去を怨念として引きずるのではなく、今、舞姫さまと共に在ることを感謝し…、そう、宗教団体とは名乗っていないが、大銀河帝国は事実上世界最大の宗教組織とも言えるのだ。

「神の如き存在で有る舞姫さまは、神という抽象的概念に対して大きな影響を与えていますね。」
「だな、何故か世界各地に神と呼ばれる存在が宗教上の存在として伝承されている。
地域によって大きく異なる様々な神が世界中で崇められて来たのだから、古代には姫さまの様な存在がいたのかもな。」
「人間を神格化したのか、人間とは全く別の存在だったのか、大昔に作られた神話の世界はほとんど創作なのか、ほんの少しの事実を誇張したのか全く分からないです。
でも、姫さまは人の子として生まれ育ち、その過程を世界中の人が知っています。
それが将来的にも、神話のような怪しげな伝承ではなく、正しく伝えられたらと思うのです。」
「清香は、今の体制では不十分だと思うのか?」
「たまに、誇張された表現を目にしません?」
「う~ん、確かにな、姫さまは特殊な存在だからやむを得ないとも思うのだが。」
「神の如き存在ですが…、最近、裕といる時間が長くなっています。」
「姫さまの発言を気にしてるのか?」
「今は三歳児でもいずれは大人に、姫さまは智里にはまだまだ届かないものの、身長が今も少しずつ伸びていらして、常人とは身体成長の速度が大きく違うみたい、という事で裕との年齢差をあまり気にしておられないのかも知れません。」
「結婚相手としてか?」
「ええ、裕が天才の部類に属する事は証明されつつ有ります。
まだ先の事で何とも言えませんが、もしそうなった時に、姫さまは人間なんだと思って貰えていた方がスムーズに行くのではないかと。」
「そうだな、相手が裕で無くとも姫さま自身の幸せを私達は後押ししないと。
しかしだな、神の如き存在が息子の嫁になったら…、清香、どうする?」
「え~と…、嫁と姑の諍いのない様に…。」
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