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それから-10 [シトワイヤン-35]

苗川での大銀河帝国建国記念祭のメインイベントは午前中に開幕した。
前座は世界のトップスター達、姫さまに捧げる歌や大銀河帝国を讃える演奏が続く。
前座のエンディングでは世界各地から祭りの映像が流され、そのBGMはWe Are the World。
古い曲だが、建国記念祭バージョンとして、英語で始まり途中から様々な言語に変わって行く。
映像に合わせ延々と歌い続けられる曲の録音には世界各国から多くのミュージシャンが参加してくれた。

「いよいよ姫さまの出番ね。」
「万里は、記念祭に向け、世界中の人達が万里の事を想って下さってるのを感じてると話していましたが…。」
「数十億の人達がこの瞬間を待ちわびていて、その想いが姫さまに届いてるとしたら、何時も以上に祝福を感じられるエリアは広がるのかもな。」

今回の舞台は至ってシンプル、黒一色の背景に姫さまの衣装が映える。
音は両手に持つ鈴のみ、静まり返った館内にシャンシャンと響き渡り、舞が始まる。
すぐに足は床を離れ空中での舞に。
照明が少しづつ落とされて行くのは、姫さまが光を放ち始めたから。
姫さまが自ら光を放っておられることは、照明やカメラとの打ち合わせの時にカメラマンが気付いた。
その時は周りが明るいと気付かれないレベルだったが、今の輝きは、数十億の視聴者から想いを受けとってか神々しく照明を必要としない。
我々はあえて、神の如き存在と呼んで来たが、神の定義とは何だろう。
姫さまを知るまで、空想上の存在として神を捉えて来た人も少なくないと思う。
姫さま自身は、人間だと話されるのだが。
舞は優雅に優美に輝きを増して行く。
姫さまの祝福は私達を愛情で包み込む
それは言葉でなく心の底に感じさせてくれるもの。
生まれ変わった地球市民を文字通り祝福して下さっている。
私の瞳からは喜びの涙が留めなく流れ落ちた。


そして…。

姫さまが静かに舞を終えられた瞬間から、世界中で奇跡の如き現象が…。



- 完 -
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