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それから-08 [シトワイヤン-35]

久しぶりの苗川、私達は本間さんを訪ねた。

「市長を退かれて如何です?」
「適度に遊びながら、若者たちと交流しているよ。
同年代と話してるより元気になれるからね。」
「本間塾の塾生ですか?」
「ああ、経済環境が大きく変わったので、政治経済への口出しをやめたが、教育関連はね。
教育改革は進んでいるが、まだまだ検討課題が山積みなんだ。
で、お主の子ども達はどうしてる?」
「今は姫さまの館で遊んでます。
旅立つ前とはすっかり変わってますので、探検気分みたいですね。」
「はは、聞いたよ、迷路みたいになってるのだろ。
トイレから広間に戻るのに苦労したという話を聞いたぞ。」
「行きに苦労させるのは酷ですので、帰り道に仕掛けが有るのです、来た廊下を戻ってるつもりが知らぬ間に全然違う所へ、私もやられましたよ。
今は何階建てなのかで意見が分かれているそうで、二階とするか中二階とするか微妙な所が…、そんなのがあちらこちらに有りましてね。
表から見た感じは五階建てぐらいなのですが裏は斜面を下に伸びてますし、地下室も結構な規模になっていまして。
今は案内なしで回る気にはなれません。
姫さまはそれを楽しんでおられるのですが。」
「姫さまが喜んでおられるのなら問題ないな。
で、四歳の息子とはどうなんだ?」
「仲良くやってまして、姫さまは本間さん同様、教育を考えておられます。
私達が、ずっと姫さまと共に旅をしていた御蔭か、どの子も知性が高くて、教えられた事をどんどん吸収、スタッフからも様々な事を教えて貰っています。
姫さまが、長男に関してどれぐらい本気なのか冗談なのか分かりませんが、将来夫となるかも知れないと、教育方針の相談を私達とも。」
「その可能性はあるのか?」
「姫さまは不思議な人ですので…。」
「何にしても久しぶりに会いたいね、裕くんだったかな、私は天才児と呼ばれている子の教育にも関わっているんだ。」
「お願いします、苗川大改造に関する本間さんの著書は、しばらく前に愛華に手伝って貰って読んでいましたので。」
「清香くんの子ではなかったのかな?」
「関係ないです、私達は誰のお腹から出て来たかに関係なく接しています。
智里の子を清香があやしている時に、智里が愛華の子と遊んでる何てことは日常で、私達は大家族なんです、そこにスタッフ達も加わってくれていますので。」
「そうか、核家族とは真逆なのだな、プラス面を感じているのか?」
「はい、うちの子達は沢山の愛情によって育てられていまして、母親が仕事をしていても子ども達は誰かが面倒を見ています。
生まれた時からの事ですので、私の子には一応二人の母親がいると教えていますが、あまり意味は有りません。」
「智里の子もとなると、血縁だけでない大家族という事かな。」
「ええ、智里の旦那は子をあやすのが得意で、私の膝の上より彼の膝の方が人気だったりします。
裕は、自分を幼児だとは思っていませんので三歳で卒業しましたが。」
「そうか…。」
「日本でも大家族が良い形で復活すればと思います、世界を周ってみて結構自然な形だと思えました。
喧嘩をすることは有っても子ども同士協力し合い、複数の大人と接しながら成長する。
日本の核家族化は仕事に疲れた大人達が進めたのでは無いでしょうか。」
「う~ん、心に余裕がなかったのかな…。」
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