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それから-07 [シトワイヤン-35]

久しぶりに苗川へ帰還、今回はファルコン号で。
しばらく上空から町の様子を眺める。
エリア毎に統一感の在る街並みは観光客にも人気。
電柱はなくすっきりしていて、宿場町をイメージしたエリア以外は日本とは思えない佇まいになっている。
姫さまが滞在していなくとも、姫さまの生まれ育った町として、また苗川大改造の成果を見る為に観光客が途絶えることは無いが、今日は姫さまが長旅から帰られると有って特に多いそうだ。

「こうして空から見てると、苗川大改造にドキドキしてた頃を思い出すわね。」
「だな、ホントに実験的な取り組みで、本間さんでなければ実現出来なかった。
国内外からの移住者を受け入れ、周辺の自治体も含めたエリアの活性化に成功している。
自分達も僅かながらに関わらせて頂いたことを誇りに思うよ。
ここをモデルにして改造計画を立ててる町が世界中に有るのだからな。」
「地方への本社移転、その先駆けとなった事も大きいのよね。」
「ああ、それが、東京から日本中の地方都市へ本社移転を促進させ地方の活性化に繋がっている。
元々東京に本社を置く必要は無かったのに、少しばかりの理由を付けて東京一極集中、地方が衰退して行ったのは、企業人の姿勢に依る所が大きかった。
地球市民党、姫さまの登場で市民の意識が変わり、地方都市に活気が戻ったと言えるね。
東京の交通事情も幾分混雑が緩和されたと聞いている。」
「過疎地への本社移転も聞いたわ、何でも大した用も無いのに訪問して来る人がいなくなって、効率が上がっているのだとか。
自然の好きな社員、満員電車から解放されたかった社員が、率先して動いた結果で、不便な所では有るけど、社員が移住し店が増え町が綺麗になって行く、そして広い家に皆さん満足してるそうよ。」
「土地の価格が全く違うからな、今時、通信回線さえ有れば、本社は何処に有っても問題ない、俺たちは地球の裏側から指示を出し報告を受けていたのだからね。
確かに気軽に会えない状態はデメリットかも知れないけど、会社関係の来客に時間を使う事がなかったのは思っていたより大きなメリットだったのかもな。」
「過密状態の東京を考え、地方都市の衰退を考えたら普通に実行出来た筈、それでも苗川というお手本がなかったら踏み切れなかったのよね。」
「市民の意識改革が進んだ結果でも有るな。
私達に関係する企業の一部は、大銀河帝国の自治領に本社を移したが問題なく機能している。
今の日本に税収の心配は要らないからな。
ただ今後は、今の好景気を如何に持続させて行くかだ。」
「ふふ、和馬を総理大臣にしてと画策してた人達はがっかりしてるでしょうね。」
「総理大臣なんかになってしまったら、折角どさくさに紛れて掴んだ姫さまの側近という地位を失ってしまうし、日本で一夫多妻は認められないからな。
自由気ままにファルコン号で姫さまと旅、これに勝る生活はないだろ。」
「地上の全てが私達の庭ですものね、行って無いのは南極と北極ぐらいかしら。」
「そうだな…、姫さまはペンギンと遊んでみたいと仰っていた、検討してみるか。」
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