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F組三国志 17-4 [F組三国志 17 秋山美咲]

省吾は真面目に受け止めてくれた。
そして…。

「クリスマスを前に省吾と美咲が益々熱々だと感じるのは私の気のせいかしら?」
「ふふ、麻里子の気のせいよ、チーム赤澤に、また新しい部会を発足させる話が出ててるから、その調整作業で少し忙しそうにしてるだけよ。」
「そうかしら、で、新しい部会って?」
「貧困問題の内、若い女性が陥り易い問題、経済的基盤がしっかりしていないのに、赤ちゃんを産んだ後、すぐに男の人と別れるとか有るでしょ。」
「有るわね、中学の先輩にもいて噂になってた。
高校さぼって遊び歩いて、親に内緒で出産したけど、男に捨てられたとか。
その後どうなったのかは知らないけど…、生まれて来た子が可哀そうかも。」
「でしょ、調べてみたら、想像したくない様な人生を送る事になった人が少なからずいて、根性の有る人は逞しく生きているけど、そういう人ばかりではないみたい。
子どもも貧困状態で育つと、似た様な道を歩んでしまって貧困状態から抜け出せないのよ。」
「私達とは違う世界だけど、チーム赤澤として関わって行くの?」
「ええ、再教育の環境から考えて行く事になりそう。」
「う~ん、そういう人達に今更数学や英語でもないでしょ?」
「勿論よ、学校制度にも問題が有ると思うもの、中学のテストで百点満点中一桁しか取れなかった人達に高校の授業って意味有る?」
「そうね、無意味と言い切ってしまうのはどうかと思うけど、手を抜いてもしっかり点をとってしまう誰かさんとは違うものね。」
「私の手抜きに関して省吾は、必要の無い受け身の知識を沢山詰め込まされるより、チーム赤澤のメンバーから学ぶ生きた知識こそが大切だと話してくれてね。
点数の為に必死になる程の内容では無いのだから、私が数学で零点だとしても全然問題ないって、まあそう言いつつ、ポイントを教えてくれるのだけど。」
「ふふ、そんな話を数学零点の人が語ったら説得力も零点、でも省吾さんならね。
そうすると…、再教育って?」
「生きて行く力、この社会で生きて行く力を身に付ける為の教育。
省吾が料理上手なのは、料理が出来れば仕事に困らず生活出来るという、お父さまの考えでね、子ども達が好きに選んだ道で失敗しても大丈夫な様に保険を掛けたのだって。
お父さま自身が料理好きだった事もあってね。
本来の教育は子ども達が成長した時に生きて行く力になるべきものの筈、でも現状はどう?」
「高卒資格や大卒資格を取る為に進学してる人が少なくないみたいね、チーム赤澤の学習部会でも問題提起されてたわ。
そこから、もう一歩踏み出すという事かしら?」
「ええ、社会のシステムを見直してみようとね。」
「切っ掛けは何か有ったの?」
「そうね、私が避妊に失敗して、省吾の子を高校生の内に身籠ってしまったらとか話しててね。
まあ、私達の場合は、すでに収入が有るし先々の目途も立っているから大丈夫なのだけど。」
「あっ、そういう事だったのか、美咲は真面目だからどうなのかと思ってた。
ねえ、彼とはどんな感じだったの?」
「えっ、はは、まあね…。」
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