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F組三国志 17-5 [F組三国志 17 秋山美咲]

冬休み中は毎日省吾と一緒だった。

「美咲は冬休み中も忙しかったの?」
「そうね、チーム赤澤関連の忘年会や新年会が少しあったし、新年になっての親戚回りがね、赤澤家関係にもお邪魔させて頂いたから、お年玉の贈与税について考える事になるとは思ってなかったわ。」
「そんなに?」
「互いの親族を紹介しあって婚約しますと報告したから、そのお祝いも含まれているの。」
「そこまで話が進んでいるのか…。」
「省吾がね、私達の将来設計を父さんに話してくれてね。
早過ぎると誰もが思うかもしれないけど、大きな仕事に取り掛かってしまったから早めに身を固めたい、昔なら元服を済ませている年齢で私と共に歩みたいとね。」
「省吾さまカッコいいな~、婚約って…、結納とかも?」
「世話好きのおばさんが、お爺ちゃん達を喜ばせましょうって盛り上がってしまったの。
春休み頃に両家顔合わせの食事会とかも、私達は学校やチーム赤澤のことで忙しいだろうからと言って、何か実行委員会を作るみたいな感じになってしまってさ。
チーム赤澤がテレビで取り上げられて、うちの親戚は赤澤省吾に興味深々という事もあってね。」
「そこまでか~、もう結婚披露宴を開いた方が早くない?」
「そんな話も出てたけど、まだ入籍とか出来ないでしょ。」
「私の叔母さんが聞いたら妬みそうだな~、かなり焦ってるみたいだから。」
「そうなんだ、チーム赤澤では婚活プログラムを企画する話が出てるから、形が出来たら紹介しようか?」
「そんな事にも取り組むの?」
「大切なことでしょ、少子化問題は社会の活力に大きく影響して行くと思わない?」
「そっか、私にとってはうんと先の話で実感ないけど。」
「あまり先送りして高齢出産となるとリスクが増えるのよ、私は両親の若い内に赤ちゃんを儲けて、子育てを手伝って貰うつもりなの、私のお婆ちゃん達も手伝いたいって言ってくれてね。」
「美咲と省吾さんの子なら多くの人に祝福され大切にされるのだろうな。」
「ふふ、省吾ったらね、ひいお婆ちゃん達にも協力をお願いしてたのよ。
高校を卒業してからの話なのに、でも、私の負担が減らせるし、お年寄りの生甲斐になるからとね。」
「省吾さんらしいわ、確かに共働きで子育てしてる従姉は大変だって言ってた。」
「安心して専業主婦になれる余裕が、金銭的にも精神的も無くなっているみたいでしょ。
女性の社会進出というテーマと育児のバランスを考えて、私達は大家族をイメージしているの。」
「大変な事も有りそうだけど…。」
「何とかなるでしょ、住まいはスープの冷めない距離にするのだけど、その辺りの考え方が両家で似ていてね、親戚が結構近くに住んでるの。
省吾の叔母さんと私の伯父さんちが歩いて三分ぐらいの所だと分かって盛り上がったのよ。」
「へ~。」
「そんなに近くても面識は無かったのだけど、両家には婚期を逃し掛けてる人がいてね、この際だから見合いをさせようと言う話まで出て来てどうなることやら。」
「なんか楽しそう。」
「うん、この歳で婚約でしょ、始めは反対する人がいてもおかしくないと思って少し緊張気味だったのだけど、省吾と私ならお似合いだって誰もが喜んでくれてさ。」
「良かったね、私もなんか楽しく…、幸せな話は周りも幸せな気分にしてくれるね、うちは相続で揉め始めてさ。」
「あらま、大変じゃない。」
「でもね、父さんはお爺ちゃんの遺産をあてにする様な仕事をしてこなかったと言い切ってカッコよかった。」
「うん、カッコいいわ、由香はお父さまの血をしっかり引きついでるから素敵なのね。」
「あん、美咲ったら…。
でも美咲の所も親族が多そうで相続とか大変になりそうじゃない?」
「ふふ、赤澤のお父さまとうちの父さんは親族の仲の良さを自慢し合ってたわよ。
省吾だって、弟や妹の事を考え、親に頼らずに私達の家を建てるつもりですからね。」
「う~ん、省吾さんなら十年後とかではないよね?」
「ええ、お年玉を沢山頂いたから資本金が増えて一段と早まりそうなの。
新会社設立には多くの方々が協力を申し出て下さっていてね。」
「会社?」
「もう少ししたら省吾の事を、社長って呼ぶ人が、う~ん、何人ぐらいになるのかな…。」
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