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F組三国志 17-2 [F組三国志 17 秋山美咲]

私が期末テストで手抜きした話は、あやかがしっかり広めてくれたから、その結果が前回とあまり変わらなかった事に皆から驚かれた。
でも、一番驚いたのは自分自身かも知れない。
省吾は日頃の積み重ねが有ったからだと言うが、テストに向けての学習時間をどれだけ減らしたのかは自分自身が一番分かっている。
一学期の期末テストは色々必死だった、省吾と付き合い始めた事が成績に悪影響をもたらしたとは思われたくなかったし。
そんな事も含めて一番分かっているのは母だと思う。

「美咲、省吾さんに見て貰うと学習時間を減らしても点が取れてしまうのね。
毎日のデートは勉強ばかりではなかったのでしょ。」
「うん、省吾んちにいる時はチーム赤澤の人が訪ねて来たりするけど、誰もテストの事なんて気にしてなかったわ。」
「あら、赤澤さんのお宅ではのんびり出来ないのかしら。」
「いつもと言う訳では無いのだけど、省吾にとってはうちの方がくつろげるみたい、何となく使い分けているのよ。」
「赤澤さんのお宅でも英語で会話したりしてるの?」
「私にとっては、うちでの会話より、うんとハードな時が有るのよ、赤澤のお父さまは省吾と違って甘くないから、知らない単語がどんどん出て来て大変なの。」
「省吾さんがフォローしてくれるのでしょ?」
「彼がどうでも良いと感じた時は放置状態、まあ、彼が必要を感じたらフォローしてくれるのだけど。」
「意外と冷たいのね。」
「知らない外国人と話す事に慣れる為だとか、でもね字幕なしで映画を一緒に見てる時、ピンポイントでアドバイスしてくれた事が英語のテストに出たのよ。
テスト中にニヤリと笑って鼻歌が出そうになってしまったわ、映画の曲を思い出してさ。」
「ふふ、テストが楽しかったのね。」
「うん、テストに対する価値観を彼が変えてくれて楽しめたかも。
省吾はね、私の魅力にテストの点数は関係ないって言ってくれて、でもちゃんと結果が出る様にしてくれるでしょ。
私なんか彼の為に何もしてあげられないけど、甘えさせてくれるし。」
「そこら辺の大人達より余程大人なのね。
一応子どもは高校を卒業してからでしょ、避妊具とかはちゃんと用意してるの?」
「えっ、やっだ~、お母さんたら…。」
「急ぐ必要は無いけど、人間の本能なのだから、ついって事が有るかも知れないじゃない。」
「そういうものなの?」
「そういうものよ、それと雑誌に書いてあったのだけど、性に関していい加減な情報が信じられていたりするから真面目に学習、そうね、数学より大切なことだと思うわよ、命にも係わる事なのだから。」
「そうか…。」
「クラスには、もう色々経験済みの子もいるの?」
「どうかな…、F組はカップルの成立が多いけど…。
そういう事も省吾と話した方が良いのかしら?」
「変に気持ちがすれ違わない為にも、彼から男の子の事情を教えて貰い、女の子の事情を教えておくべきだと思うわね。」
「なんか恥ずかしいかも…。」
「彼を狙ってる人は少なくないのでしょ。」
「そうなのよ~、真面目な顔して、結婚出来なくて良いし一人で育てるから省吾の子を産みたいと言ってる人が…、男に縛られたくないけど、子どもは産みたいのだとか。
酔っぱらいの女子大生には困ったものだわ。」
「美咲が知ってる内は良いけど、省吾さんだって男の子なんだから、美咲がじらし過ぎてると分かんないわよ。」
「え~、じらしてって、そんな感じじゃないわ、でも好き過ぎてどうしたら良いのか分からないかも。」
「抱きしめて貰ったりはしてるの?」
「う、うん…。」
「なら大丈夫かな、美咲は真面目過ぎる所が有るから心配してたのよ。」
「親から不順異性交遊のお勧めをされるとは思わなかったわ。」
「何、その古めかしい言い方は、高校生なんて所詮失敗を経験する時期なの、でもね、省吾さん程の人とすれ違って別れたとしたらあなたは一生後悔すると思う。
そのリスクを減らす為に、二人できちんと、美咲が恥ずかしいと思う事も話し合って行くべきなの。」
「う~ん…。」
「省吾さんは学校の学習以外にも大切な事が有ると話してくれたのでしょ。」
「うん…。」

母は省吾をとても気に入っていて、彼が家に来ると確実にテンションが上がる。
彼の好みは全てマスター済で、男子高校生の食べっぷりが嬉しいと話す。
私達はほとんど毎日、どちらかの家で夜を過ごし、省吾の家で過ごした時は省吾が送ってくれる。
雨の日には省吾のお父さまが一緒に送って下さることも。
まさしく両家公認の仲なのだ。
省吾はとても紳士的で今まで何の不満もない。
でも女子大生に迫られたら、省吾は受け入れてしまうのだろうか。
子孫を残すことを生物学的に考えると、オスとメスではどう考えてもメスの方が大きな負担を負う事になる。
男の子はどう考えているのだろう。
省吾と沢山話をして来たから、気持ちのすれ違いなんて考えてなかったけど、男女の具体的な話はまだ…。
明日思い切って話して…、うん、省吾には何も隠したくないし、少し戸惑ってる気持ちを伝えたい。
結婚するのだから、何時かは経験して行くことだけど、それを何時にとかは考えてなかった…。
うわ~、何かドキドキして来た…。
今夜は眠れそうにないな…。
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