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F組三国志 17-1 [F組三国志 17 秋山美咲]

「おいおい、岡崎、なんだその切り方は、全然成長してないじゃないか。
それじゃあ、何時まで経っても人一人殺せやしないぞ。」
「ば、馬鹿言わないでくれよ、人を殺す気なんてないってば、それより赤澤リーダーの包丁さばきを見せてよ。」
「あっ、私も~、二年生になったら違うクラスになってしまうかも知れないでしょ。」
「はは、仕方ないな、まあ包丁貸してみな…。
はい、ととんとね。」
「おお~。」

今日は調理実習兼期末テストを終えてのささやかな打ち上げ。
省吾も、ほっとしたのか何時になく上機嫌。
そりゃあ、二学期も色々ありましたから…。

「美咲、何時まで玉子、かき回してるつもり?」
「あっ、いっけな~い、えっと…、あやか、次は…、省吾が野菜を切り終わってからよね。」
「毎日飽きるほど一緒にいるのに、また見とれていたの?」
「い、いや~、飽きてないし。」
「でもまあ、ようやく一区切りついたという感じよね、二学期も忙し過ぎて、お疲れ気味なの?」
「そうでもないわ、テストは計画的に手を抜いたから。」
「手抜きするって言ってたけど冗談じゃなかったのか、思い切ったな~、成績が下がっても構わないと?」
「ええ、大学入試が私の目標ではないからね、でも将来の事をしっかり考えての判断よ。
今、何に力を注ぐべきかを考え、百点狙いを九十点狙いに変えただけで随分楽だったわ。」
「どれぐらい点数が下がりそう?」
「それがね、狙っても取れない百点を目指していた頃より余裕が出来て、思っていたより問題が解けてさ。」
「へ~、予想以上に?」
「結果を見ないと何とも言えないけど、省吾に学習時間を大きく削ったプログラムを作って貰ってね。」
「それを素直に実行したのね。」
「勿論よ、英語では、省吾と英語で話してた内容が、そのまま出てたし。」
「楽しいデートの時間が英語学習なのか…。」
「省吾のいない状態で同じ事をしてたら惨めな結果に成っていたと思うわ、彼はそれでも構わないと言ってくれてたけど。」
「はいはい、それにしても、そんなに違うものなの?」
「良い点取ろうと思って頑張る時って、最後の五点を上げる事に必死だったりするじゃない。
そこを大きく捨てて省吾の予測に身を委ねたってとこよ。
有名大学を目指してる人達にはお勧め出来ないけど、私は高卒でも構わないと思ってるからね。
省吾と違う大学に通うぐらいなら、彼のサポートに徹したいのよ。」
「マジでこの先、彼と別れる事が有るとか考えてないの?」
「まさか、そんな事考えてたら楽しくないでしょ。」
「でも家の人は大学進学して欲しいのでは?」
「結構話し合っているのよ、互いの両親ともね。
何時婚約しても構わないし、孫の面倒は協力して見てくれる事になっていてね。」
「そこまで急がなくても…。」
「高齢出産で苦労するより余程良いって考え方なの。
何かの間違いで離婚したとしても、省吾と私の子なら全力で育児を手伝いたいという人が結構いて…、中に省吾を狙ってそうな人が居るのは気掛かりだけど、父さんも母さんも省吾との結婚には大賛成。」
「でしょうね、高校一年生にして大学生や大人も含めた組織のリーダーなんて普通じゃないもの。」

うん、省吾は絶対普通じゃない、本人がそれに気付いているのかどうかは微妙でも、私にとって最高の人だ。
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