SSブログ

大銀河帝国-27 [シトワイヤン-34]

記念硬貨の価格設定変更には、反対意見も出されたが、根を円とユーロでも固定にする事で、ドル換算する必要が無くなり販売が楽になると、最期は姫さまが決定を下されスタート。
ドルを売って円を買い、その円で根を買うという動きが活発に、これだけで大金を手にした人がいる訳だが、すぐに相場は一ドル百円、一ユーロの辺りで落ち着いた。
大銀河帝国が変動相場制をほぼ固定相場に変えてしまったと言える。
それだけの力、安心感が大銀河帝国に有る訳だ。
他の通貨とは今まで通りでも、四つの通貨がほぼ固定化されてしまった事で、為替市場は冷え込み一部から不満の声が聞かれたが、為替の変動を気にする必要無く取引が出来、メリットを感じている企業も多い。
為替差益の旨味は無くなったが為替差損のリスクが無くなり、これを切っ掛けに根を含めた四つの通貨は固定相場制への移行が検討され始めている。
また、為替市場から株式市場へ資金が流れ、株価は上昇、世界的な好況感が広がっている。
根の発行額は増え続け、それで得られた外貨が各国で雇用対策に投資されている事も有り、帝国によって形成された経済圏では失業率が軒並み下がっている。
当初は、何もない所から魔法の如く生み出された通貨に反発する声も有ったが、帝国国民がそれを見事に活かしたことで、どれほどの人が救われたことか。
根は決済通貨として流通量を増やしつつ、記念硬貨は出来上がるとすぐに売れ、常に購入希望者が待っている状態。
帝国の保有する外貨は膨大な額になりつつある。

「今度の記念硬貨は何を記念するものなのです?」
「姫さま、今回は自治領が一つ増える記念です。
自治領内でもキャッシュレス決済が進んでいないエリアがまだまだ多い状態ですが、元の通貨から根への移行が進み始めていまして、利便性を考慮し新たな金種も発行します。」
「もう発行枚数は記念硬貨と呼べるレベルを遥かに超えていますが、あくまでも記念硬貨なのですか?」
「はい、片面は全て姫さまの肖像で統一されていますが、片面は何でも有り、敢えてデザインの種類を増やす事で、使用時に真贋の確認したくなる状況を作り出しています。」
「まさか、偽造されているのではないですよね?」
「大丈夫です、記念硬貨の広まりと共に、内臓チップの読み取り装置や、装置付きのレジも普及していますので。
紙幣より偽造コストが掛かりますし、内臓のチップは取り出そうとするだけでデータが消える構造、偽造するだけの技術が有ったら他の仕事をした方が儲かるでしょう。
流通している硬貨は、レジでの読み取り時にチェックされていますが今の所偽造コインの情報は入って来ていません。
お釣りは電子マネーとしてカードや携帯端末に返すのが原則になっていますので、キャッシュレス化も進み始めています。」
「最後にお店でお買い物をしてから随分になる…、レジの進化は話に聞いてるけど…、お姉ちゃんとの買い物だと自分でお金を出す事は無かったし。」
「今、姫さまが買いものに訪れたら、店員は困ってしまうでしょうね、思わずお代は要りませんとか。
もっとも、その前に、集まって来る人を整理するのが大変だと思います。」
「変装しなくては駄目ですか?」
「変装しても無駄ですよ、姫さまのオーラは隠せませんから。」
「う~ん、ちっちゃい頃、かくれんぼをしていても、すぐに見つけられてたのは偶然じゃなかったのかしら。」
nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー