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大銀河帝国-26 [シトワイヤン-34]

舞姫さまや大銀河帝国の存在は、帝国に関わる国々に大きな影響を与え、国家間の貿易でも自国の利益のみを基準にした交渉から脱却し、多国間での計画的な生産と取引、輸出入のバランスを目指し始めている。
国家レベルで共に経済成長出来る社会を意識しての事だ。
株式市場、為替市場では今まで当たり前に考えられていた理屈が変わりつつ有り、市場の動向を不安視する声も聞かれるが、世界経済を悪化させる事無く、より安定させる方策を模索中というのが現状。
今の所は大銀河帝国関連企業が積極的に投資を行っていることがプラス要因となっていて悪くは無いのだが、そんな中で…。

「和馬さん、帝国の記念硬貨が、舞姫さまグッズかの如く売れてますが、通貨として微妙になって来ましたね。」
「だな、記念切手同様、外貨を稼ぐ手段と考えていたが、一ドル一根を守りつつ中にチップを埋めて偽造をしにくくしたからか、記念硬貨対応の自販機とか出始め、普通に日本でも使える通貨になりつつ有る。
自販機を製造した企業は軽い気持ちだったそうだが、日本政府が勢いで法改正してくれたからな。
記念硬貨に限らず、決済通貨としての根を持っていれば、世界中どこでも使える体制、国が破綻しその国の通貨が紙屑同然になっても、普段から根を利用していれば安心というシステムを想定してのことだが、今後どうなって行くのか全く分からない。」
「キャッシュレス決済の進んでいない国では、記念硬貨をそのまま流通させる話も出ていますね、硬貨ばかりでは重いでしょうが。」
「なあ、帝国自治領内では、食品や生活必需品を中心に価格を企業と相談しながら政府が定めているだろ。
智里はその価格が他国でもそのまま維持される様になったらどうなると思う?」
「自由競争の原理が大きく変わりますね、同じ価格なら質で勝負でしょうか。
企業が自由に定められる価格を、敢えて帝国に合わせると…、それでも国家間の経済格差は無くならないでしょうが、最低賃金を、根で同一にして行くのはどうです?」
「そこに至る過程が難しそうだが、姫さまを名誉プリンセスにしている国では可能性が無いとは言えないか…。
だが、アフリカの貧しい国をそこまでにするのは至難の業だろうな。」
「今は教育制度に差が有り、人の能力そのものにも差が有りますからね。
その差を無視しての平等は有り得ません。
能力のある人が正当に評価される社会でないと、かつて崩壊した社会主義国と同じ道をたどると思います。
和馬さん、それより今は実質一ドル一根の固定相場な訳ですが、他の通貨に対しても、百円一根、一ユーロ一根と言うのは如何です?
為替差益で儲けてる人には迷惑な話でしょうが、我々の経済グループを一つの存在と考えたら、四つの通貨が事実上統合されて、通貨的にはユーロ圏が拡大した形になります。
過渡期は思いっ切り揉めるでしょうが。」
「国境の無い社会を目指している人達には有りな話だろうね。
だが今なら記念硬貨を一根百円、一根一ユーロにすると宣言するだけで、その方向に持って行けそうな気がしないか? 損得勘定でドル、円、ユーロが売り買いされるだろうが…。
記念硬貨の価格設定という話に過ぎないと軽く始めてみたいね。」
「帝国は記念硬貨でぼろ儲け、通貨を発行し過ぎるとその価値が下がる筈が、記念硬貨を売るという形なので実質固定相場、それに決済通貨としての機能が連動して安定、思いっ切りインチキをしている気分です。」
「まあ、それによって経済的に弱い国々を援助出来てるのだから悪くないだろ。
増えてる通貨が大銀河帝国によって貧しい国に投資されている、インフレが起きつつ有るが、物価を帝国自治領と同じレベルまで上げて行く事を目指して、人々の生活が困らない様、状況を見ながら計画的に進めているからな。」
「そこに根を共通通貨として導入して行けば…、しばらくは混乱しても、近い将来経済の安定度が高まるのでしょうか?」
「やってみないと分からないが、各種記念硬貨、一根を百円、一ユーロで売る事は検討して貰おうか。」
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