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大銀河帝国-25 [シトワイヤン-34]

大銀河帝国大学は世界中で展開することを想定している。
関連企業の研究室が学生たちの研究の場となったり、ネット回線を利用しての意見交換や情報提供を行う。
ベースは、市民政党若葉のスタッフが日本で構築して来たもの、すでに海外の研究所、研究者も参加していて、その規模を更に拡大し帝国大学の学生を受け入れて行く。
その過程で姫さまから提案されたのは、共同研究を充実させることで研究効率を高められないかという事。

「姫さま、姫さまの指示で進めて来ました、研究室の交流は幾つか形になって来ました。
主に日米欧の研究室ですが、同じ内容の研究で競い合っていた所が、共同研究や互いの成果を検証し合う方向で進み始め、今までなら自分達の実績として発表したかったであろうことも、帝国の一員として舞姫さまの下に力を合わせて行くと、研究成果は姫さまに捧げる形になりそうです。」
「良い事ですが、仲良しになると競い合う気持ちが薄れたりしないでしょうか?」
「そこは、姫さまに褒めて頂きたい一心の様です。
皆さん、ノーベル賞より姫さまからの勲章の方が価値が高いと思っているそうで、一番の名誉だとか。
今まで賞を贈った研究は誰もが納得する成果を上げたものですので。
実際、交流を進める事によって自身の研究課程がすでに相手チームで解決済だったとか、ヒントを貰った事で一気に研究が進んだり、分担して取り組むことで研究の効率が上がっているとか。
姫さまの祝福を受けた人達は、利己的な感情が弱まっていますが、大銀河帝国の為、姫さまの為に成果を上げたいという気持ちは強くなっているのです。」
「帝国大学の学生受け入れも順調ですか?」
「はい、まだ人数は少ないですがこちらで研究費の負担もしていますので受け入れ先にも喜んで貰えています。
既存の大学とは違ったプロセスを経て帝国大学の学生になった人は、一般の学生と視点が異なり、新たな発見に繋がっていると評価されています。
企業の研究室からは、そのまま社員になって欲しいという話も来ていますが、今の帝国大学生は、研究職に憧れ、力は有っても、それが諸事情で叶わなかった人が中心ですので不思議では有りません。
今後、枠を広げて行っても質が落ちない様に気を付けたいです。」
「帝国大学に不合格になった人はどういう人達です?」
「主に大銀河帝国大学の趣旨を充分理解しないで入学希望をして来た人達で、卒業したら就職に有利だと思いまして、と平気で話す様な受験生は一時面接で不合格です。
逆に趣旨を理解している人達は論文もしっかりしていまして、目的意識が高くその差は歴然だったそうです。」
「そうでしたか、私は今、研究という行為について考察を深めてみようと思っているのです。」
「研究についての研究ですか?」
「はい、色々なアプローチが出来ると考えていまして、研究のプロセスを整理出来れば、効率が上がる様な気がしていまして、まずは大きな成果を上げられた研究者の方々のお話をもっと聞いてみたいです。」
「勲章を贈られた方々との懇親会が切っ掛けなのですね。
今後も勲章授与を予定していますが、姫さまの判断で選んで下さって構わないと思います。
候補者たちとの会を設ける様に指示してよろしいでしょうか?」
「はい、旅行中でも先方の都合に合わせて…、出来れば理工系の研究施設も極秘でない所で構いませんの見て行きたいです。」
「分かりました、警備上問題のない範囲で、最先端技術を研究している施設と交渉し旅行スケジュールに組み込む方向で調整させます。」
「決まったら早めに教えて下さいね、その分野の学習に取り組みますので。」
「では、資料も揃えて貰っておきます。
旅の道中を更に充実させるおつもりなのですね。」
「一つぐらいは社会の役に立てる研究をしたいのです。」

姫さまの知的好奇心は衰えることを知らない。
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