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大銀河帝国-03 [シトワイヤン-32]

日本の総理に続いて、ヨーロッパや東南アジアの首脳達がスピーチ。
舞姫さまの下に集まる国同士が経済交流を活発にして行く、地球防衛軍により一国では解決出来ない問題に取り組むなど、世界の枠組みを変えて行く構想が語られたのは、国連より自由度が高いからだ、大銀河帝国の方向性に対して反対する国に気を遣う必要はない。
会場を提供した王国と今まで良好な関係を築けてなかった国も、未来志向の協力を王子達と合意したと発表した。
大銀河帝国との、これからの協力関係を自慢げに話せる首脳達の話が一通り終わってからは、単なる祝辞が続き終了。
その夜の晩餐会も和やかな雰囲気で進む。
舞姫さまの前で恥ずかしい話は出来ない、そう、誰しもが苗川で内面の恰好良い市民を目指す運動の存在を知っている。
舞姫さま関連の企業が莫大な利益を上げ、その利益を社会に大きく還元していることも。
ある首相は、国家間の格差は簡単に縮まらないにしても、貧困層を減らし国民の多くが中流意識を持てる国にして行くことは、富裕層の意識改革が進み始めている今、それほど難しい事ではないと話す。
すでに舞姫さまに忠誠を誓う者達は、バランスの取れた社会を目指して動き出しているとも。
そこからは、各国の自慢話、舞姫さまの意向に沿って我が国ではと。
姫さまの前で、楽しそうに語り合う首脳達の姿は世界中に伝えられ、その内容を誇らしげに受け止める国民が多かったそうだ。
一夜明けて。

「姫さま、開いている証券市場では、大銀河帝国に関連する企業の株価が一気に上がっています。
株式会社舞姫も上場してあればとんでもない事になったでしょうね。」
「う~ん、実態の伴わないバブル状態にならないかしら。」
「高値で株を手放した人は、その資金で何をすれば良いのか、舞姫さまに喜んで頂くには何をすれば良いのか分かっていると話していました。
大金を手にして私利私欲に走るのか、その資金をバランスの取れた社会構築に役立てるのかと言えば、圧倒的に後者が増えています。
企業家を評価する基準として、多く稼いだではなく、安定雇用の場をどれだけ多く作り上げる事に成功したかとしよう、という声も上がって来ています。」
「なら、私もその基準で評価される様に頑張ろうかな。」
「姫さまは、そこにいて下さるだけで…、姫さまは評価の対象にはなり得ません。」
「え~、経営について研究して来たし、実績も出ているのだけどな。」
「残念ながら姫さまがどれだけ多くの実績を上げられた所で、凡人と比較するのは失礼だと誰しもが思います。」
「少し残念な気もするけど…、せめてお手本になる様な形を模索して、お小遣いの使い方を考えてみようかしら。」
「お願いします、今までも姫さまの指示で運用された資金は大きく社会に貢献した上で利益を出しています。」
「小学生の頃はビジネスで成功、なんて事も考えてたのですよ。」
「姫さまは何をなされても成功すると思いますが…、今は目標とかあるのですか?」
「そうね、本間さんとは、世界のトップリーダーとしての在り方をね、何もしないでのほほんと生きて行くのも有りなのだけど。」
「あっ、本間さんは後継者に上手く引き継ぐ道筋を考えていると…、表向きは引退して…。」
「ふふ、裏で、私達のフォローを考えて下さっているのですよ。
今まで色々な方々とお話させて頂きましたが、本間塾長の素養は群を抜いていると思います。
苗川大改造の成功を市民の力だと話されますが、リーダーとしてそれを導いた塾長のお力無くしてはスタートすら出来なかったでしょう。
その彼が、市長職を後継者にお任せして、苗川の地から世界に対して影響力を発揮して下さるのです。」
「本間さんの肩書はどうされるのですか?」
「う~ん、何か怪しげなのはないかしら。」
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