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大銀河帝国-04 [シトワイヤン-32]

大銀河帝国に関わる人達は多国籍で有る為、様々なルールが定められている。
例えば、自分が所属する国の利益を優先することなく、弱小国に目を向けること。
帝国を利用しての経済活動は奨励するが、得られた利益は極力社会に還元する形で投資すること。
各国の食糧自給率に配慮することなど。
これらは、帝国の法として正式に定められた訳ではないが、仮の法として姫さまの承認を得たもの。
法的拘束力は皆無の努力目標と言えなくも無いのだが、国家間の交渉でも相手国の事情に配慮する事が増えているのはこういったルールが浸透し始めているからに他ならない。
舞姫さま登場以前の世界では、ひたすら自国の利益をぶつけ合いながら妥協点を模索して来たのだから大きな変化。
因みに正式な帝国の法は、新しい形態である帝国組織がもう少し固まってから整備をして行く、今は大銀河帝国に相応しい法体系を研究している段階だ。

「帝国の建国宣言以降、帝国を認め新たな国際的な枠組みを模索している国々は活気づいてるみたいですね。」
「舞姫さまと共に歩む道を実り有るものにして行こうと、各国のリーダーだけでなく国民達が考えているのだから、今までとは違った価値観が定着しつつ有るみたいだね。
お金の使い方を変えたら、尊敬される様になり企業の収益が向上しているという話を耳にしたよ。
ただな…、智里は我々と距離を置いてる国をどう思う?」
「独裁者にとっては自分以上で有る、万里の存在は疎ましいでしょうね。
スパイを送り込むと、国を見限って亡命してしまうのだから、彼らに出来る事は無視を決め込むぐらい、でも、国民に全てを隠しておくことは不可能でしょう。
今は過激な手段を選ばない事を祈りつつ静観するしかないですね。」
「ねえ、お姉ちゃん、こちらから動くことを考えても良いと思うのだけど。」
「万里、こちらからって、何をするの?」
「内戦を頑張ってる国に、私が遊びに行くとか。」
「そ、それは…、私だけでなく、世界中の人達を心配させることになるでしょ。」
「多くの人にとって、よその国の内戦とか、知らない国同士の紛争なんてどうでも良い事、でも地球市民としてはどうなのかな。」
「そりゃあ、万里がそんな所へ足を運んだら、世界中が注目するでしょうね。」
「難民達には祖国を再生する力になって貰う、難民の発生源を減らし再開発することで、多くの難民を受け入れて来た国の負担を減らして行きたいと思うの、その切っ掛けとしてね。
まずは隣国から国境付近を視察する形でどうかしら。
中東を重視という意思表示が、まだ充分とは思えないの。」
「姫さまに危険の無い様…、当然、そこの人々は姫さまの祝福を感じるだろうから…、ただ、遠距離からのミサイル攻撃には無力です。」
「和馬さん、それは怖いですが、私が飾り物の女王では私に忠誠を誓って下さってる方々に申し訳ないです。
世界平和に向けて攻める姿勢も必要ではないでしょうか。」
「でも、万里に何かあったら…、そうね…、現状、万里を銀河の果てに飛ばす様な国が、その先地上に残るとは思えないかな…、大銀河帝国の力を示す意味でも、まずは万里の意向を各国に伝えてみてから検討しましょうか。」
「う~ん、姫さまの力を信じてはいますが…。」
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