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大銀河帝国-02 [シトワイヤン-32]

大銀河帝国建国宣言の当日、セレモニーは帝国を特別な国家と認めた国々の音楽家達が神殿の舞台に立ち帝国を讃える曲を合同で演奏して始まった。
国歌や愛唱歌の候補はすでに幾つか有り、その中の一つだ。
最初のスピーチはこの国の王子。
舞姫さまに対する感謝に始まり、地球を一つにしようと言う帝国の思惑を語り、最後に、イスラムの教えによって紛争が無くならないのなら、自分はイスラムの教えを離れ、ただ舞姫さまと共に平和を希求して行くと宣言した。
一年前、舞姫さまがこの地に祝福をもたらしてから、長年続く中東各地の紛争と向き有って来た人物の言葉で重みが有る。
その王子に呼ばれる形で舞台に立った姫さまは、この場を用意してくれた王子と国民に感謝の言葉を述べた後…。

「地球上のあらゆる問題と向き合う多くの人々と共に平和な世界の確立を目指し、全ての国家と手を取り合い明日の地球を守って行く大銀河帝国、その建国をここに宣言します。」

この瞬間、神殿にいた各国の要人は歓声を上げた。
そして、この模様を中継で見ていた世界中の人達が、それぞれの流儀で祝う。
真夜中の国では花火が打ち上げられ、朝日に向かって建国を祝う歌を歌う人達がいれば、夕日を前に踊り出す人達も。
神殿に用意された巨大モニターには、そんな各国の様子が映し出されて行く。
三十分程すると、姫さまの舞が始まり、世界中の人達が注目する。
ふわり、そんな音が聞こえて来そうな感じで宙に浮き、姫さま曰く喜びの舞が舞われる。
今回、音楽はなく、手に持った鈴の音だけが神殿に響き渡る。
それがまた幻想的、舞姫さまが人を超えた存在で有ると改めて確信させられた。
舞が終わり、人々がその余韻に浸る時間を充分にとった所で、各国の要人によるスピーチが始まる。
トップは日本の総理大臣。
大銀河帝国建国に対し祝いの言葉を述べた後。

「我が国の国民の多くは、大銀河帝国の国民でも有ります、日本は舞姫さまの祝福を一番多く頂いている国でも有り、姫さまと共に歩んで行きたいと考えております。
地球防衛軍の日本師団につきましては、自衛隊からも人員を送り込み、日本のみならず世界の環境改善の為に尽力して行きたいです。
我が国は諸事情により平和を目的とした軍事活動に対して積極的に関わることが出来ませんでした。
その分、地球防衛軍の描く理想に向けて出来る限りの支援をさせて頂きます…。」

総理が自信を持って協力を約束出来るのは、姫さまが日本中に祝福を届けて下さったからに他ならない。
本当は自衛隊をそのまま地球防衛軍にしたいところなのだが、まだ国際情勢はそれを許すに至っていない。
ただ、周辺諸国の国民が大銀河帝国に多く登録してくれれば、日本の持つ戦力を削減出来ると思う。
おっと、日本の憲法では戦力を保持しないとなっていた。
日本を守る為の防衛力を戦力ではないと言う人がいて、未だに自衛隊はおかしな存在のままだが、周辺諸国と共に大銀河帝国を盛り立てて行ける状況に持ち込めるのなら、自衛隊から武器を無くしその全てを地球防衛軍日本師団に再編出来るかも知れない。
そうなれば憲法を改正することなく、言葉通りの憲法九条が成立するのだが、まだ高いハードルが残っている。
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