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巡礼-09 [シトワイヤン-27]

姫さまとの旅行中、特筆すべき出来事としては、まず『舞姫さまの社』の事が上げられる。
姫さまは自身のホログラム映像を不思議そうにご覧になられていたのだが、それを見ていた人達がホログラム映像の舞姫さまと実物の舞姫さまが僅かな時間入れ替わったと話す。
姫さまは目の錯覚ですと取り合わなかったのだが、翌日、それまではただの3D映像でしかなかったホログラム映像に姫さまの力が宿りました、と管理スタッフたちが興奮気味に報告して来た。
その時はまだ社自体が姫さまの影響下にあるタイミングのことだったので話半分に聞いていた。
だが、姫さまがその地を離れた後も姫さまの祝福を感じられるだけでなく、ホログラム映像が本来映し出される筈の舞とは異なる動きをしているそうだ。
そのことを姫さまに尋ねても、いたずらっぽく笑うだけで何も教えてくれない。

もう一つは鳥達との戯れ。
姫さまは旅行中、何処へ行っても歓迎されたが、それは人間からだけではない。
姫さまが空を見上げると鳥が舞い降りて来ることは何度も有った。
テレビ局のカメラマンはそんな光景を逃さない。
降りて来た鳥の種類などを番組で紹介しているのだが、旅の中盤には二十種類を超えていた。
姫さまによると、隠れて出て来ないが、鳥だけでなく多くの生き物が歓迎してくれてるそうで、舞姫フレンズは人間だけではないのだとか。

そして旅のメインイベントである姫さまの舞。
今回は屋外ステージでの披露。
市民政党若葉主催、数万人規模のビッグイベント、そのトリを飾る。
企画の段階で一番心配されたのは雨だが、智里から「万里は運動会とか大きな行事で雨に降られことがなのですよ、ほらヨーロッパ旅行中、雨が降っても夜だけとかじゃなかったですか。」と言われた。
思い起こしてみても姫さまが雨の中に立つシーンを見た記憶がなかったのでゴーサインを。
より多くの人に見て貰いたいということで広い公園の芝生広場に大型モニター付きの仮設ステージを組んだ。
小雨ぐらいなら姫さまさえ濡れなければ良いと考えていたが、程よい晴れ。
数組の歌手が愛と平和を歌い、最後のプログラムとして舞姫さまの登場。
まずは歌を披露。
途中から一羽の小鳥が舞い降りて来てさえずり始めるが、そのさえずりは伴奏というか良い効果をもたらし歌を引き立てる。
舞が始まると今度はタカが舞台上を何度も横切る。
姫さまが合わせているのかタカが合わせているのか分からないが、手にした鈴に合わせて飛んでいる様に見える。
そして…、十分程舞ったところで、姫さまが宙に浮き始めた。
勿論種も仕掛けも用意されていない、両足はその重要な役目を中断し舞の一部としてのみ機能している。
優美。
パリでの舞とは比べ物にならないぐらい感動的な舞を体験させて貰えたことに感謝しかない。
我らが舞姫さまは観客を魅了しつくした後、静かに着地して舞を終える。

これからは、姫さまが普通の女の子だと話しても誰も同意しないだろう。
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