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巡礼-10 [シトワイヤン-27]

舞姫さまが宙に舞うというか宙で舞う一分だけの映像をテレビ局に流した。
全編はDVDにして発売予定で、その予告となる。
その映像が何度も放送されたことも有り愛華の記者会見には何時も以上に多くの記者が詰めかけた。

舞姫さまファンの人には、舞姫フレンズを名乗り、外見に拘らず内面が綺麗で恰好良い人を目指して貰う。
愛華が記者たちに向けて発表したのはこれだけのことなのだが、海外を意識し説明を加えた。
全ての言語においてMaihime friendsと発音される言葉のみが正式なもので、勝手な名称で集団を作っても認めない。
それは姫さまが国境を越えて人々が仲良く交流することを望んでいるからだ、ということを特に強調。
質疑応答では…。

「信者という呼び方は好ましく無いのでしょうか?」
「私達は宗教団体では有りません、舞姫さまを信じ慕って下さることは嬉しいのですが、姫さま自身、舞姫さまの信者という表現がお好きではないのです。
姫さまのファン、もしくは舞姫フレンズと表現して頂きたいです。」

「舞姫フレンズとして自己の研鑽ということですが、約束事は今後増えますか?」
「自己研鑽の過程に於いて地球市民党の理念などを参考にして頂けたらと思います。
この一言に多くの意味合いが含まれていますので、舞姫フレンズとして細かいルールは必要ないと考えています。
因みに女性差別人種差別などをするのはとても格好の悪い事です。」

「人の行動を全て恰好良いかどうかで判断する訳ですが、価値観は多様ですよね?」
「おっしゃる通りです、そこを地球規模で、特に争いの原因になっていることに対して価値観自体から見直せないかと地球市民党で研究しています。
自分と意見の異なる人に対して、排除することしか考えられない人は恰好悪いとか。
こういった価値観を今後、舞姫フレンズの人達と考えて行きたいです。」

「舞姫さまのお力を考えるとフレンズという表現には違和感を覚える人も少なからずいると思うのですが。」
「姫さま自身が慕って下さる方々とは友人で有りたいと考えておられます。
宗教について考えた上で、宗教とは一線を画して行くのが私達の出した結論、ですから信者ではなくフレンズなのです。」

「舞姫フレンズというのはスタッフ全員が同意してということでしょうか?」
「いえ、舞姫騎士団の面々は方向性を理解しつつも、自分達はあくまでも家来であってフレンズとは名乗れないと話す人が多いです、問題はないと思いますが。」

「地球市民党としては舞姫フレンズを世界中に広げたいと考えているのでしょうが、勝算は如何です?」
「そうですね、最大の問題はイスラム圏に舞姫フレンズを如何にして浸透させるかだと思っています。
イスラム圏の方々が姫さまを認めて下されば、地球市民という我々の理念が世界中に広がって行くことになると考えていまして。
そして、私には、私達の姫さまを受け入れられない人の存在がイメージ出来ないのです。」

記者会見を受けて、すぐに舞姫フレンズというワードがネット上で飛び交い始めた。
そして舞姫さまの祝福の経験者達中心に『外見に拘らず内面が綺麗で恰好良い人』について意見が交わされる。
地球市民としてどうあるべきか、多くの人達が考え始めてくれたみたいだ。
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