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三学期-350 [花鈴-35]

「落ち着いて開店を迎えられたみたいですね。」
「ええ、当初の予定では開店前にご案内させて頂くことになっていたのですが、少し手違いが有ったそうで、ご迷惑をお掛けしました、何とか解決出来たみたいです。」
「店舗面積の割に通路が広いです、かなり思い切ったレイアウトで。」
「車椅子を意識しましたので必然的にこうなりました。
 その為、似た商品が有る場合はそこから一つを選び、扱うアイテム数を抑えています。
 品揃え豊富な店の真逆にすることで、店の運営コストを下げる狙いも有ります。
 移動販売ではアイテム数が限られますが、それでも問題は有りませんので。
 どうしても拘ると言う方には通販を利用するなり、車で近隣の店へ行って頂ければと考えていますが、地域の方々にはそこまでの拘りが無いみたいでした。
 お土産品をどちらにしようかと、観光客の方を迷わせるのも何ですし。」
「選ぶ楽しさはどうです?」
「それは少なくなるかもですが、手作り商品は次来た時に売ってない可能性が有るとアナウンスします。
 その時々に手に入る素材を利用し、その時々の気分で制作される民芸品も有るのですよ。」
「季節によって違うと?」
「勿論です、民芸品向けの藁を確保するには手間が掛かりますので、藁を素材に使った商品は多く有りません。
 在庫が無くなったら終わりとなり、違った素材を使った商品と入れ替えになります。」
「農閑期に民芸品を制作とか?」
「ええ、地元婦人会の方々が乗り気になって下さいましてね。
 今まで最低賃金レベルでパート仕事をしていた人には真面目に頑張れば最低賃金の倍の副収入をと、仮設店舗での実験販売を通し、時給換算、最低賃金の三倍から四倍を稼いでる人もいるのです。
 勿論我が社を潤わせつつですよ。」
「それだけの商品を制作出来るのですね。」
「良い商品を良い形でお客様に紹介するノウハウを、協力して下さっている大学生達が研究してくれた成果なのです。」
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