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三学期-340 [花鈴-34]

「ですね、店がオープンして完成では無く、今後この地を農業公園として整備して行く計画が有りますので、直ぐに飽きられてしまう事は無いとは思っているのですが。」
「はい、その農業公園の一部にブルーベリー農園も含まれるのですから自分も気合を入れて取り組んで行きたいと思っています。
 それで、ホームセンターの計画は進んでいるのですか?」
「ええ、近い将来、私達の店はホームセンターの一部となる計画が有り、まずは何が売れるか探る意味合いも有っての開店でも有るのですよ。」
「成程、観光客向けの特殊な何でも屋としてのスタートにはそんな裏も有ったのですね。
 ガーデニング部門の担当者はマジで何が売れるか分からないから、感性で勝負だと話してましたが。」
「一般的な資材以外は、お客さんが自分の庭に置きたいと思える物を用意出来るかどうかがポイントになるでしょ。
 大きな店では無いから置ける数に限りが有り、彼がどんな商品を置くのかには興味が有るの。」
「確かに…、でも…、展示するだけなら店から少し離れた場所でも構わないと思いませんか?
 今ならそんな場所は幾らでも有ります。
 空き家の樹木は掘り起こして移動するのに手間が掛かりますが、それでも欲しいと思う方がおられましたら、樹木を無料にしても移植に関する費用を発生させられる訳で。」
「需要はどうかしら?
 う~ん…、微妙では有ります、都会の一等地では庭付きの一軒家を取り壊し三軒の小さな家にして売っていたりしますので。
 でも、世の中には沢山稼いでる人もいます。
 そんな人をターゲットに…、移植し易い木を見つけて写真に撮り、移植費用の見積もりを提示するぐらいなら、最近知り合った農学部の人が取り組んでくれるかも知れません。」
「結果が悪くても赤字額が膨らまらないのであれば、試してみる価値は有るかもね。
 店の商品展示スペースには限りが有るけど、店から離れた所に商品が有っても僅かな時間で見に行って頂ける…、そんな時間を気にする様な人はターゲット外と思えば良いよね?」
「ええ、家を解体し駐車場にした人からは、それなりに高価だった庭石も移動費用の関係で廃棄物にせざるを得なかったと聞いています、そんな費用を気にせず買って下さる方がいればと思いまして。」
「そっか、移設に手間が掛かるから、その物の価値より移動コストが問題に。
 里中さんは、そんなことにも詳しかったんだ。」
「はは、庭木や庭石の事情なんて、田舎の大きな家へ養子になることが決まるまで全く無縁だったのですが、決まったら色々教えて下さる方が何人もいましてね。」
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