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三学期-339 [花鈴-34]

「店にはお年寄りだけでなく様々なハンディをお持ちの方が来て下さる可能性が有るでしょ。
 だから年齢に関係なく大人な人を店員にしたいと考えたの。」
「そうでしたね、通路を広めにして有るのも車椅子を意識してのことと聞きました。
 駐車場から一メートル上がる為だけに利用出来る電動昇降施設なんて初めて見たのですが、水害を意識して一階を駐車場より高めにしたから設置したのだとか。
 健常者が階段で普通に上がれる高さで有ってもハンディの有る人にとっては一つのハードルになるのですよね。」
「かなりの大雨でも大丈夫な駐車場だけど、店は更に安全を考えて床を高くしたの。
 スロープだって負担に成り兼ねないから設置したのだけど、他所では見たことも無い昇降機の有る店と言うだけで宣伝にもなるのよ。」
「ですよね、オープン時に取材予定のテレビ局担当者が凄く興味を持っておられました。
 只の観光客向けの店では無く、地元の人にも利用して貰うことを前提としている店舗、他店とは色々な意味で差別化が計られていることに驚かれておられましたよ。」
「問題は宣伝が上手く行き過ぎて、混雑し過ぎる可能性なのよね。
 平日は兎も角、土日の混み具合が予想しづらくて。
 かと言って宣伝しないとお客さんは来てくれないでしょ?」
「ええ、一応オープンから暫くの土日は大学生がフォローに入れる体制を整えていますが、こればかりは蓋を開けてみないと分かりませんから。」
「フォローの体制ですか?」
「客として遊びに来て、忙しそうだったら手伝ってくれると言う仲間が結構いるのです。
 オープニングスタッフの一人が呼び掛けてくれましてね。
 皆、姫の活動に興味を持っている人達ですから、もし彼らの力を借りることになったら姫から労いの言葉を掛けて上げて下さい。」
「そうなんだ、働いて下さった方には充分な謝礼を考えないと行けませんね。
 勿論夕食会にご招待とか考えます。
 ねえ、里中さん、私達のちょっと特殊な店、大きく失敗と言う未来が全く見えないのですけど。」
「ですよね、どこに落とし穴が有るのか分からないとは言え…。」
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