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三学期-334 [花鈴-34]

「里中さん、皆さんが合宿所生活を通して価値観が変わったと感じる事は有りませんか?」
「全員とは言えませんが、変わっていると思います。
 自分だって、ここへの移住何て全く考えもせずに来たのですから。
 不便だろうと思って来てみたら何の不便も無く、新たな人間関係を築くことが出来、勿論養子の話なんて考えてもいなかったことです。」
「でしょうね、里中さんだからこそ話がトントンと進んだ訳で。」
「はは、まあ性格の良い連中は、自分と同じ様な形を目論んでいる人達から狙われているみたいですよ。
 実の子が遠く離れた都会で落ち着いた暮らしをしていたら、家やお墓を守って欲しいとは言えないそうで。
 実際、廃村となった所も有る訳です。
 自分達の死後、荒れ果てた状態になる我が家を残念がる人も人もいまして。」
「ある程度は父が買い取ったりしてるのですが、今、住んでる人の家まではね。
 お墓の管理までは出来ないし。」
「う~ん…、出来なくも無いと思いますよ。
 お墓に対する考え方は変わって来ていますから。
 姫の所なら立派な墓石が設置された先祖代々のお墓が有ったりするのでしょうが、墓じまいをする人も増えているのです。」
「墓じまい?」
「お墓に納められている遺骨を簡素な施設に移動させたりして、お墓を撤去してしまうのです。
 跡地には他の方がお墓を設置とか。」
「良く分からないけど…、う~ん…、お墓参りには行くけど、お墓はシンボルに過ぎないのよね。」
「ですね、でもそんなシンボルを大切にしたいと思う心が人々には有るのです。
 ただ、それが立派な墓石で有る必要は無いと考える人が増え、樹木葬とかシンプルなお墓が増えています。
 株式会社花鈴で、そんな事業展開を考えてみるのも有りかもですね。」
「全く考えて無かった事業だけど収益性はどうなのかしら?」
「様々な価格帯の施設を有する霊園を作り、近所の寺の名を冠する、需要は有ると思います。」
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