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三学期-333 [花鈴-34]

「かも知れません。
 合宿所で春休みを過ごしている連中は、元々田舎に興味が有って来てたのですが、自分が移住を決意したことで、凄く人生について考えていると話す奴もいます。
 普通に大企業への就職を目指し都会で暮らす、と言う選択肢しか考えて来なかったそうで。」
「そっか、普通の大学生ならそうよね。
 余程自然が好きな人で無いと田舎暮らし何て考えもしないでしょう。」
「でも、ここには大会社の本社が有り、移住者が増えている特別な田舎ですから。
 車が無いと不便過ぎますが車の置き場には困りません。
 田舎ですが普通にネットが使えますから、ネットビジネスを考えてる奴は、ここに住むのも有りだとか。」
「在宅勤務を増やして本社施設の縮小を進めている会社も有るのよね。」
「ええ、バカ高い賃料を払って都会の一等地に大きな本社ビルなんて作るから、社員は満員電車での通勤を余儀なくされてる訳で。
 移住して来た人の中には、満員電車から解放され、信号の少ない道路で運転のストレスから解放されたと笑顔で話される人もいます。
 多少の不便は厭わないと思って移住したそうですが、何が不便なのか分からないとも。」
「そうよね、車が有れば店までの所要時間は信号が少ない分短くて済むぐらいだもの。
 大学生の人達も、その辺りの事に気付き始めてるのかしら?」
「どうですかね、合宿所はこのエリア唯一のコンビニから近い、はは、それだけの事だけでも合宿所は一等地に有ると言えるのですよ。」
「そこは父の発案なの、大学生なんて近くにコンビニが有れば後は何もいらないと言ってね。」
「確かに、ここに来るような奴らはお洒落なカフェなんて必要としてませんから。
 自炊を楽しんでる奴もいますし。」
「里中さん以外にも移住しそうな人は居るの?」
「何人かは真面目に考えていると思います。
 株式会社花鈴の事や大社長のいる本社勤務とかを調べていますので。」
「それは心強い、ならば少し背中を押す様なことを考えて見るわね。
 里中さんも、この地に若者が増えた方が安心でしょ?」
「ですね、特に合宿所で暮らしてる連中は仲間ですから。」
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