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三学期-332 [花鈴-34]

 三月十五日が私達の新店舗オープン日。
 私がオープンに向けての作業を手伝うことはないのだけど、学校帰りに準備の様子を見に行ったりはしている。
 オープニングスタッフには合宿所を利用している大学生達がいて、彼らと話すのも楽しいのだ。

「里中さん、養子の話はどう?」
「順調に進んでいます、養父は少ない親戚に対して話を通すのに大した手間は掛からなかったそうで。
 休耕田などをブルーベリー農園に造り変える計画も進んでいますからね。
 義理の父母になる人達は出会った頃より元気なのですよ。
 体の動く内は少しでも手伝いたいと、それが長生きに繋がる気がしてると話しています。」
「そっか、新しい事業に取り組むことはお年寄りにとって良い刺激になっているんだ。」
「ええ、この店で売ってみてはと蔵から色々出して来てもいまして、まあ蔵の片付けが目的でも有るのですが、花鈴姫の助けになれば嬉しいそうです。」
「聞いたわ、鑑定して貰い価格決定して売るより、競売形式で売る方が面白いのだとか。
 ネットでのそれは現物を見ない売買なので失敗するが人が居るそうだけど、ここで展示した上での競売なら、本気の人は現物を見に来ることが出来、その経済効果も僅かながらも期待出来るのよね。」
「ええ、その積み重ねがこの地の活性化に繋がると言うのが田中社長のお考えで、皆さんそれに賛同されています。
 古い道具から、それを使っていた人々の暮らしぶりを想像してみたりとか、そんな気持ちも分かりますし、高値で売れなかったとしても、それはそれで買い手の方に喜んで貰えるのですから。」
「そして里中さんの物になる蔵がすっきりするのね。
 蔵を店にする計画は?」
「全て、この店次第です。
 ここが繁盛すれば、その流れからカフェにしてもやって行けるのかも知れません。
 ブルーベリー農園は大社長の関連企業が福利厚生の一環として利用して下さる方向で進んでいても、カフェとなると話しは違って来ますので。」
「そうね、私達のグループとは関係の無い人達が普通に利用してくれる店に出来ないと、先行きが怪しくなってしまうのものね。」
「姫的に勝算はどうなのです?」
「まあサポートしてくれてる大学生次第かしら、里中さん達が鍵を握ってるのよ。」
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