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三学期-317 [花鈴-32]

「ねえ、ひろっちにとって姫はどう言う存在なの?」
「どうと言われても…。」
「好きなのでしょ?」
「それは間違い無いけど好きでも色々有ると思う。
 自分の場合は尊敬や敬愛と言った感じかな。
 同級生に対して敬う気持ちが芽生えるなんて、ここに越して来るまで考えもしなかったことだけどね。
 今は姫にお仕えしてるのが心地良いんだ。
 沢山学習する必要が有るけど、無理無く自分に出来る範囲を姫は考慮してくれてる。
 大賢者みたいに特別な小学五年生で無くても、中学一年生の数学を理解出来たのが嬉しくてね。」
「能力に関係なく一律なカリキュラムに疑問を感じていたのだけど、ひろっちが、そこをはっきりさせてくれたのよ。
 無理して先の内容まで学習して行く必要は無いのだけど、沢山考えることで脳が鍛えられる可能性は有ると確信し始めていてね。」
「脳が鍛えられる?」
「将棋の藤井聡太さんは元々遺伝的にも能力が高かったのだろうけど、将棋を通してその才能を鍛え上げたのだと思うの。
 私達は沢山考えることで、それぞれの力を伸ばしているのだと思わない?」
「言われてみれば…、私は英語を普通に話す環境に育っただけで普通の小学生でしたが、この小学校では英語を教える立場になり…、算数は苦手なままですが。」
「Lilyは変わったよな、始めて会った四月はおどおどしてて自信なさげだったのが、今は英語の先生。」
「それは姫が導いてくれたからなの。
 英語が話せることと、英語を教えることは全く別の能力だとは理解してるでしょ?」
「勿論さ、将来を考え英語に取り組んでいるけど、ここにLilyが居てくれて良かったと思っているよ。」
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