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三学期-303 [花鈴-31]

 一芸に秀でる者は多芸に通ず、とは薫を表現するのにぴったりな言葉。
 そう、彼は多才、音楽だけでなく絵も上手い、数学や英語も得意な小学五年生なのだ。
 苦手なのは人と話すことだと言っていたが、あまり話さず笑わなかった彼も、最近はピーマンの会メンバーと打ち解けて来ている。

「薫は笑わない人かと思ってたけど普通に笑うのね。」
「う~ん…、そうかも、家族からは最近明るくなったって言われてる。
 ここに来るまで友達と思える子はいなかったからな。」
「周りの子が幼く思えたとか?」
「周りに合わせるのが下手なんだと思う。
 でも、姫達とは話が合うし、Lilyと英語で話せるのは楽しい。
 仲間って良いなって思ってるよ。」
「そうね、ピーマンの会、小学五年生の六人がバラバラで暮らしてたら楽しく無かったと思うわ。
 他の子達とも話はするけど、本当の友達と思えるのは薫を含めた六人だもの。」
「僕も友達に入れてくれるんだね。」
「勿論よ、私の為に曲を作ってくれる人なんて他にいないもの。
 素敵な曲を有難うね。
 今、絵梨のお父さんがYouTubeでの演出を考えてるから案がまとまったら演奏お願いね。」
「うん、そうだ、絵梨に詞を書いて貰って僕が作曲、姫が日本語で歌い、Lilyが英語で歌う…、大賢者とひろっちには踊って貰うとか?」
「大賢者も歌は苦手なのよね、数学の才は踊りに活かせるのかしら?」
「姫から課題として出されれば彼なりに考えると思う、どんな踊りになるのかは全く分からないけど。」
「ふふ、まあ、踊りは兎も角、薫に歌を作曲して貰えるのなら嬉しいわ。
 今までYouTubeチャンネルで発表した歌にオリジナルは無くてね。
 カバーだから視聴回数が伸びたとも言えるけど、私の歌として挑戦出来たら絶対楽しいと思うな。」
「素人の作曲だから人気は出ないかもだけど。」
「良いのよ、薫の才能を世に出して行く事が大切なの。
 一つ目で直ぐに結果が出なかったとしても、何本も出して良いでしょ。
 ヒットが出れば、この地の再生資金に充てられるけど、絶対ヒットさせなくては何て状況では無いのだから気軽に作曲して欲しいわ。
 お~い、絵梨、薫からの提案なんだけど…。」
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