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夏休み-212 [花鈴-22]

「子どもでしょ?」
「ですが、能力では大人に負けていないと思います。
 キャンプが印象に残るものとなったのは、姫の提案に沿って自分達で計画を立て、食事を自分達で作ったからで、キャンプに向けて調理の練習をしたり、食材の量を考えたり。
 自分にとっては難しくも有りましましたが、凄く新鮮で楽しい経験となりました。
 それが出来たのも姫のアドバイスが有ったからだと思っています。
 キャンプ以降家でも料理に挑戦しているのですよ。」
「ふふ、ひろっちパパが話してたわよ。」
「えっ、なんて?」
「浩紀はキャンプで凄く成長しましたってね。
 里奈の面倒も今まで以上にしてくれる様になりましたとも。」
「う~ん…、何となく人の為に働くことが楽しくなったのかも知れません。
 働ける喜びがキャンプのキャッチフレーズでしたから。」
「世話をして貰ってばかりでは大人には成れないのよね。
 ひろっちは自分の成長を実感してるの?」
「言われてみれば、と言う感じです。
 でも、里奈に対する見方がここに来て変わって来ているのは間違いないです。
 兄としての立場に変わりはないのですが、転校して来てここに馴染むまで姫が優しくしてくれて、妹は特に可愛がって貰いましたが、ただ甘やかすのでは無く、その成長を意識した指導をさりげなく。
 そんなことに気付けた時、色々考えました。」
「どんなことを?」
「クラスの皆も姫に対して感謝してるとは思うのですが、その度合いに個人差が、つまりは気付けている人と気付けていない人がいるとか。
 キャンプで姫が大学生と対等に話してるのを聞いていて、これまで姫が多くのことを学んで来たと感じましたが、それは小学校で教えていることでは無いです。
 小学生に対して学校が教えようとしていることは、姫にとって教えて貰う必要がなく、自分で調べ理解出来るのですよね。」
「そうね、人間観察や教えることをして来なかったら学校は退屈なだけの場だったと思うわ。」
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