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夏休み-118 [花鈴-12]

「えっ、僕が何か?」
 隣で数学の話をしていた大賢者が反応した。
「大賢者って意外とまともねって話。」
「意外とって所が引っ掛かるな。」
「周りの子と能力に大きな差が有るのだから、性格が歪んでいてもおかしく無かったでしょ。」
「あのね~、親も常識人だから色々教えられて来たのだよ、人それぞれなのだからと。
 花鈴姫の方こそ社長令嬢、嫌なお姫様にならないでくれよ。」
「少し癖の有るお姫様像を描きつつは有るのだけど普通が一番なのかしら。」
「大賢者、姫さまって普通か?」
「兄貴、僕には分かりませんよ、姫の人格は数学より複雑過ぎて何を考えてるのかさっぱりです。」
「だよな、理数系の高い能力で注目されてる大賢者とは違った分野で秀でているのだろうけど。」
「そうよね、数学とかだとその能力が一目瞭然だけど、社会学的分野で高い能力を発揮されても今一つ分かりにくいと言うか。」
「私は普通ですよ。」
「普通の人は自分のことを普通だとは言わないよな。」
「そうですか?
 では普通の定義について考えてみます?」
「だから普通の小学五年生は普通の定義を考えたりしないのだよ。」
「う~ん、そう言われると返す言葉が思い浮かばない、所詮私は大人にとって嫌な子どもなのね。」
「みんな気を付けろよ、姫は同情を誘って味方を作ろうとしてるのだから。」
「え~、藤井さんってもっと優しい人だと思ってたのに…、残念な気分。」
「ええ、藤井くんらしからぬ、ちょっとひどい発言だと思うな。」
「い、いや、そんな…。」
「かくして姫には逆らえなくなると言うことか。」
「自分は姫と共にこの地を盛り立てて行くつもりです、どこまでも姫をお守りして行きますからね。」
「はぁ~、大学生達に色々言わせてる花鈴姫は絶対普通じゃないでしょ。」
「大賢者もそう思うか?」
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