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夏休み-97 [花鈴-10]

「挑戦なのですか…。」
「私財も有る程度つぎ込みますからね。」
「花鈴姫が相続する額が減るとか?」
「父はお金では無く教育の形で私達に残したいと話しています。
 兄も私も自力で生きて行くことを考えていますので、親の財産を気にする必要は無いのです。
 ただ、今の資産は簡単には手放せない株が多いので相続となったらそれなりに大変だとは言われています。」
「纐纈社長は小学生の姫にそんな話までされているのですか?」
「父は会社の話を私達兄妹にしてくれますが、それは学校での学習以上に大切なことだからです。
 私が将来、会社と関わらない仕事に就く可能性は低いと父も私も考えていますので。」
「言われてみれば確かにそうです、会社が何をする所か良く分からないまま就職し、直ぐにやめてしまう人がいると聞いています。
 小学生で会社の会長と言うのは将来を考えてのことだったのですね。」
「今は経営者を目指している訳ではないのですが、会社経営についても学んでいます。
 この際です、経済を学んでいる藤井さんから、私に対するアドバイスは有りますか?」
「そうですね、もう気付かれているかも知れませんが、社会は人の心理によって左右されます。
 店が繁盛するかどうかには様々な要素が絡みますが、その店に立ち寄ろうと思わせることに尽きると言えなくもないのです。」
「心理学とかも学んだ方が良いのでしょうか?」
「心理学でも様々な種類が有ります、店の運営には消費者心理学を学ぶことで得られるものが有るかも知れません。
 実際の成功例を消費者心理の観点から分析しておくと役に立つかもです。
 お父上はその辺りに長けておられるので会社を大きく出来たのではないかと思います。
 その能力をこの地で、今までとは違ったスタンスで挑戦されているのでしょう。」
「藤井さんは消費者心理を学んでいるのですか?」
「はい、如何にして財布の紐を緩めさせるか考えるのは結構面白いですよ。」
「では、ここにいる間、私の家庭教師になるって、どうかしら?」
「家庭教師と言うことはご自宅にお邪魔させて頂けるのでしょうか?」
「勿論です、スケジュールの調整は徳沢さんにお願いしますから。」
「自分で良ければ是非。
 しかしご両親と相談しなくて良いのですか?」
「これくらいの判断を自分で出来なくて会社の会長なんて出来ませんよ。」
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