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夏休み-96 [花鈴-10]

「藤井さんは前から父の事業に注目していたのですか?」
「ええ、こんな田舎への本社移転ですが、少なくとも地元自治体の税収が増える訳で、田舎を少しは元気に出来るのだろうかと。
 株式会社花鈴の立ち上げで、その本気度が伝わって来ました。」
「実際に来てみて如何です?」
「過疎化と言う言葉は知っていても、その実態に触れる機会は今まで有りませんでしたが、思ってたより皆さん元気なのだと感じています。
「ですよね、野菜を寄付して頂く話をした時も、お役に立てるのなら今までより多めに栽培すると話して下さる方が何人もいらして。」
「山村で生きる逞しさが有ります。
 でも朽ちかけた空き家は残念です、残された柱から立派だったで有ろうと思わせてくれる家は特に。
 林業を生業とされてた方々は自分の家を建てる時に、こだわりが有ったのだろうと。」
「昔の林業はとても大変だったそうですが、それだけ収入も多かったみたいです。
 家にお金を掛けたのでしょうね。」
「本社移転の為に本社家屋だけでなく多くの家を建てられているそうですが、かなりの費用が掛かっているのでは無いですか?」
「都会に有った古い社宅を中心に整理し売却したのですよ。
 使われなくなって放置されてた物件でもそれなりの価格で売れたそうです。
 そのお金で建てているのですが、兎に角ここは土地が安いです。
 このキャンプ場用地は管理出来なくなった人から貰って欲しいと言われ、ただ同然で手に入れたもの、整備し維持して行くのには、それなりのお金が掛かりるのですが。」
「放置された山は水害の原因を生み出し兼ねそうですね。
 倒木が沢を堰き止め池に、その堰が大雨で壊れると一気に水が流れるのだとか。」
「そうならない様、まずはこのキャンプ場周辺の整備を始めているのですよ。
 それをどれだけ広げて行けるかが父の挑戦でも有るのです。」
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