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夏休み-90 [花鈴-09]

「藤井さんは聞き上手だそうですが、何かコツが有るのですか?」
「コツと言う程のことではないのですが、まず話し相手に興味を持つことですかね。
 世の中には色々な人がいてそれぞれ様々な体験をしています、その辺りを質問すれば大抵の人は自分のことを話すのが嬉しくて色々話して下さいます。
 そんな話の中から自分が興味を持ったことについて質問すれば話が盛り上がるのです。」
「う~ん…、私も興味の有る人の話は聞くし仲良く成れるから…、その辺りをもっと意識して話す様にすれば良いのかしら。」
「花鈴姫はお年寄りの話を良く聞いていて人気者、姫さまも聞き上手なのだと思いますよ。
 孫より幼い子から自分達の生活に不満は無いかとの質問をされて多少戸惑いは有ったみたいですが、賢くて可愛くてと、姫さまの話になると皆さん顔がほころぶのです。」
「お年寄りの話を聞かせて貰いに行ったのは間違って無かったのね。」
「社長令嬢で自らも会社の会長ですので、変な話は出来ないと考えるのは普通のこと、姫さまに出来ない様な話は自分が聞いて来て報告しますから。」
「お願いします。
 それで、これまでここで暮らしてみて如何でしたか?」
「毎日変化が有って楽しいです。
 竹林再生に取り組み、お年寄りと話し子ども達と遊んだり野菜を収穫したり販売したり。
 田舎暮らしは思っていたほど不便でも無くて真面目な話ここで就職するのも有りかと考えています。」
「それは嬉しいですが…。」
「都会で信号待ちの為に使う時間の長さを考えてみたりしたのです。
 ここではその時間が極端に短いのですが、その短い時間ですら自然を感じられまして。
 それと…、姫さまは変に思われるかも知れませんが群衆の中の孤独って嫌なんです。」
「孤独?」
「知らない人ばかりに囲まれた群衆の中での孤独が嫌で人ごみは苦手なのです。
 普通に一人だけでいるのには何の抵抗も無いのですが。」
「う~ん、孤独感は本を通しての知識…、あまり考えたことがなかったの。
 ここには一人暮らしの人もいるのよね…。」
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